「ダイエットに失敗してしまう人のお話を聞いていると、思い込みや偏りがあることがわかります。若いころは極端なダイエット法で成功したとしても、年を重ねると体に負担がかかります。中高年になったら『やせぐせ』を身につけるほうが効果的です」
糖尿病、ダイエット治療、漢方医療を専門としている、工藤内科の副院長である工藤孝文先生はこう話す。工藤先生が提案する「やせぐせ」とは、考え方や取り組み方といった一種の行動療法だ。この「やせぐせ」を身につけるためにも、ぜひ素直な気持ちで取り組んでほしい。
「肥満体形の方に、その原因が食べすぎだと説明すると、『確かにそうかも』という方と『えー、そんなに食べていないんですけれど』と反論してくる方に分かれます。ダイエットに成功するのはたいてい前者のほう。他人の意見に素直に耳を傾けるというところから、ダイエットは始まっているのです」(工藤先生)
さらに多くの人が勘違いしているのが「自分は運動不足だと思い込んでいること」だという。
「やせない理由は、運動不足とは限りません。たとえば、体重を1キロ減らすにはフルマラソン2回分の運動が必要です。そんな非効率なことをしなくても、日常生活の中で消費エネルギーを増やすことは十分できますし、それ以外にも効果的なダイエット法はあるのです」
そこで今回、工藤先生が日常生活の中に取り込める「やせぐせ」を教えてくれた。
【1】やせたい人は食前・食後にコーヒーを飲みなさい!
「コーヒーに含まれるクロロゲン酸には脂肪燃焼効果があるといわれています。食前に飲むことで食べすぎを防ぎ、食後に飲むことでクロロゲン酸の作用が期待できます。ただ、ミルクを入れてしまうとクロロゲン酸の吸収率が下がるため、ブラックで。インスタントコーヒーでも大丈夫です」(工藤先生・以下同)
【2】朝、起きたら体重計に乗る
「朝いちばんの体重はその人の正確な体重です。起きてトイレを済ませたら体重を量り、増えていたら『ランチを控えめにしよう』など、その日の食事の目安としてください。夜の計測はたいてい増えていますから、落ち込みを回避するためにも朝がオススメです」
【3】買い物前にはコップ1杯の豆乳を飲む
「空腹で買い物に行くと、つい食材を買いすぎてしまうことも。無駄な出費を抑えるためにも、買い物前に空腹を感じたら、コップ1杯の豆乳を飲んでから出かけましょう。大豆タンパクが満腹中枢を刺激してくれるうえ、大豆サポニンが脂質の代謝を促します」
【4】食べたりないときは深呼吸を
「ちゃんと食べたのにまだ食べ足りないと感じる人は、自律神経が乱れて交感神経が優位になっているサイン。五感の誘惑でつい食べてしまう人は、まず深い腹式呼吸を数回しましょう。副交感神経が優位になって心が落ちつき、自然と食欲がおさまっていきます」
【5】一口ごとにいったん箸を置く
「ゆっくりよくかむと満腹中枢が刺激されて早くおなかが満たされ、少ない量でも満腹になり、やせやすくなります。そこでオススメしたいのが一口ごとにいったん箸を置く習慣。おのずとゆっくり食べることになり、意識してよくかむ癖がつきますし、よくかんで食べると素材を味わいながら食事を楽しめるようになります」
「ちょっと面倒」でも、その「ちょっと」が“やせ体質”に変えてくれるそう。早速実践してみよう。
「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載