「コロナ感染予防が普及したこともあってインフルエンザは今のところ流行にはいたっていませんが、花粉にはまた別の心がけや対策が必要となってきます」
そうアドバイスするのは、たなか耳鼻咽喉科の田中伸明院長。体調を整えて免疫力を高めることに加えて、ウイルス対策の観点からその重要性が注目されているのが、鼻の中のメンテナンス(鼻メンテ)だ。
コロナ禍に追い打ちをかけるようにやってくる花粉の本格シーズンを前に、鼻を健全に保つことが欠かせないという。
鼻には“空気清浄機”のような役割があり、その機能を最大限生かすことが身を守ることにもつながると田中院長は話す。
「鼻うがいはエビデンスが少なく、どこまで感染予防の効果があるかは未知数ですが、鼻咽頭についた花粉を洗い流してアレルギー反応を少なくしたり、サイトカインと呼ばれる炎症成分を洗い流して炎症をひどくならないようにする効果は得られます」
また、上咽頭へ異物が入るリスクを減らすためには、“鼻呼吸”が必須。乾いた空気を吸い込むと、口腔内で病原体が繁殖しやすい状態になってしまう。鼻呼吸であれば、鼻毛や鼻粘膜がフィルターの役割を果たすため、口呼吸よりもリスクを減らすことができるという。
食事の内容も、鼻の良好なコンディションを維持するためには欠かせないポイントだ。
家にいる時間が長くなると、三度の食事をつくるのが面倒になることも。そこでラーメンやパスタ、肉や揚げ物といったメニューばかりが続くと、腸内環境が乱れて免疫力の低下につながるため気をつけたい。
「腸内環境を整えることで、アレルギー症状が軽くなることが知られています。食物繊維や乳酸菌、ビフィズス菌を多く取り、腸内環境を整えるようにしましょう」
朝昼晩に次の食材を取り入れて、バランスのよい食事を心がけることがウイルスや花粉に負けない体づくりを助けてくれるそう。
■朝
【ヨーグルト】
乳酸菌は腸内環境を整える働きがあり、便秘や下痢などへの整腸作用がある。ヨーグルトや乳酸菌飲料をふだんより多めに取ると、腸内の善玉菌が増えて免疫力がアップ。
【バナナ】
食物繊維が豊富なバナナはヨーグルトとの相性もバッチリ。刻んだバナナをヨーグルトに入れて、さらにはちみつを垂らせばオリゴ糖も取れる。忙しい朝にぴったりの一品に。
■昼
【ネバネバ食材】
納豆やオクラ、やまいもなど“ネバネバした食材”に含まれている「ムチン」には体内のあらゆる器官を保護する役割があり、鼻やのどの粘膜を潤し、かぜやインフルエンザ予防の効果が。
【サラダ】
水に溶けやすい水溶性食物繊維は、腸内を掃除してスムーズな排便を促す役割がある。ブロッコリーや海藻、きのこ、ごぼうなどをたくさん取って、炭水化物は少なめにしよう。
■夜
【鍋料理】
食事をつくるのが面倒というときこそ鍋がおすすめ。肉や魚などタンパク質や野菜も一度に取ることができる。発酵食品のキムチを入れると、さらに腸内環境改善に効果的。体が温まるので、自律神経も整えてくれる。
お酒は血行を促進させるのでよいと思われがちだが、利尿作用を促すため脱水症状を招くという面もある。
「鼻腔内の粘膜の潤いが奪われることにつながるうえ、血管が広がり鼻づまりを悪化させるので、この時期の飲酒はできるだけ控えましょう」
「女性自身」2021年2月23日号 掲載