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「最近、全身の倦怠感や肩こり、めまい、頭痛などの不調を訴える方が増えています。かぜでもないのでよくお話を聞いてみると、原因は“寒暖差”ということが多いのです」

 

そう指摘するのは、せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅司院長だ。寒暖差によって引き起こされる不調は、まだ明確な診断基準がなく見逃されがちだが、ひどい場合は身体的な不調だけでなく、うつ病などメンタル面に支障をきたしてしまうことも。冒頭のような症状に悩みながらも、「いつもの疲れだろう」とやりすごす“隠れ寒暖差不調”も蔓延しているという。

 

「今年は冬は暖かい日と急に冷え込む日が交互にやってきて、例年より気温差が大きいのが特徴です。寒暖差不調を訴える患者さんの数も、昨シーズンと比べて1.5倍くらいに増えている印象です」(久手堅院長・以下同)

 

さらに今シーズンは、新型コロナ感染拡大の影響も。

 

「テレワークが増え、働く環境の整った職場ではなく、自宅でノートパソコンやスマホを見るために下を向く時間が増えた人が多い。頭は体重の8〜10%、女性なら平均約4キロです。下向きの時間が長ければ、それを支える首や肩のこりがひどくなるのは当然です。マスクが肌と接触するだけでもストレスですし、耳も痛くなる。口呼吸が増えるし、顎関節症になる人もいます。そうしたストレスのため、自律神経がいつもより乱れやすくなり、寒暖差への耐性が弱くなったとも考えられます」

 

寒暖差不調の傾向を予防、改善していくにはどうすればいいのだろう? そこで久手堅院長が改善のポイントを教えてくれた。

 

■寒暖差不調を改善するポイント

【1】体を冷やさず、温める(特に、首を日中も睡眠時も冷やさない)
【2】軽い運動、ストレッチなどを行う
【3】よく笑う(ストレスをためない)
【4】十分な睡眠を取り、規則正しい生活を
【5】発酵食品を積極的に取り、腸内環境の改善に努める
【6】スマホやパソコンを見る時間をできるだけ減らす
【7】顔の血流マッサージを、1時間に1回、1〜2分行う

 

〈顔の血流マッサージ〉

・こめかみや頬骨の上、イタキモポイントを押す
・耳を引っ張ったり回したりする
・目を閉じ、まぶたの上から軽く押す

 

「改善のためには、『栄養満点の食事を取り、毎日運動しなければ』とガチガチに考えないほうがいいです。心地よいことを無理せず続ける、できない日があっても大丈夫、くらいのゆとりを持つことが大切です。たとえば、睡眠時は首が冷えやすいので、就寝用のネックウオーマーを使ってみたり、日中は足の裏や肩甲骨の間に貼るタイプのカイロを使うのもよいでしょう。よく笑って、ストレスをためないことも大切。耳ツボマッサージはいつも手軽にできて、血流がよくなるのでおすすめです」

 

こめかみや頬骨の上側など、“痛気持ちいい”ポイントを押したり、耳を引っ張ったり回したり、それだけで体がホカホカ温まる効果が得られるという。まぶたを軽く押すのも○。これらのマッサージを1時間に1回、1〜2分行うとよいそうだ。

 

「わずか1分でも、一日に10回行えば10分間のマッサージになります。忙しい毎日ですが、ちょっとした細切れ時間を、気分転換や不調の改善に活用しましょう」

 

さらに久手堅院長は「100%の改善、症状が完全になくなることを目指さないほうがいい」という。

 

「『70%くらい改善すればいいや』といった緩めの目標がちょうどいいです。それくらい回復すれば、日常生活に大きな不都合はないでしょう」

 

まだまだ寒い日もあり、これからは三寒四温を繰り返す時期。小さな不調を見逃さず、自分の体が喜ぶことを日課にしよう。

 

「女性自身」2021年3月2日号 掲載

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