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日本人の10人に1人が悩むという、おなかのトラブル。病院に行かずに放置しがちな下痢や便秘だが、病院に行っても“原因不明”と言われてしまうことが多いという。では、おなかの不調はなぜ起こるのだろうか? 腸の名医に聞いたーー。

 

「なかなか治らない、便秘や下痢などおなかの“不腸”。それだけでもつらいのに、長引く不腸はさまざまな病気の引き金になってしまいます」

 

そう語るのは『3週間でお腹が整うまいにち腸日記』(池田書店)の著者で、消化器専門医の江田証先生。先生いわく、不腸の原因には「ストレス」「食事」「生活習慣」の要素が関わってくるという。今回は、「食事」について教えてもらった。

 

■60代以降急激に増える悪玉菌

 

腸の調子を左右する大きな要因に腸内細菌がある。

 

「腸を通過する食べ物をえさに増殖する腸内細菌。彼らは善玉菌、日和見菌、悪玉菌という3つのグループに分かれていて、人体の働きによい影響を与える善玉菌が優位になっている状態が理想的です。ところが、60歳を過ぎると急激に悪玉菌が増殖してしまいます」

 

悪玉菌が増えると消化・吸収が妨げられるうえ、悪玉菌が産生する有害物質によって腸内環境が悪化する。

 

「つまり、何もしなければ年齢を重ねるごとに腸内環境は悪くなる一方。だからこそ、善玉菌が喜ぶ、栄養バランスの整った食事を意識的にとることが大切なのです。一方、悪玉菌の大好物である、揚げ物や甘いもの、脂肪分の多い食事は控えたいもの」

 

しかし、腸の状態によっては、腸によいとされている発酵食品や水溶性食物繊維などの食品が、かえって不腸の要因になることがあるという。

 

「大腸にすむ腸内細菌が小腸で増殖するSIBOや、過敏性腸症候群の場合、ヨーグルトやりんごなどの整腸食が、おなかの調子を悪化させる場合があります。ヨーグルトを食べるとおなかの調子が悪くなる場合、一度やめてみることも必要です」

 

SIBOとは、大腸に生息する腸内細菌が、小腸で異常繁殖した状態(小腸内細菌増殖症)のこと。加齢による腸の機能低下、小腸から大腸への入口のゆるみなどにより、大腸から小腸に細菌が流入。小腸では吸収できないオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール(糖アルコール)の4つの発酵性糖質をエサに細菌がガスを発生させ、おなかの張りや痛み、下痢や便秘などの症状を引き起こす。栄養の吸収が阻害され、ビタミンの欠乏症を起こしたり、腸から有害物質や未消化の食べ物が血管に漏れ出すリーキーガット症候群を招いたりする。

 

すなわち、腸内環境が悪化した状態を放置すると、腸の健康が損なわれるだけでなく、がんや動脈硬化、認知症などの病気になるリスクも上昇するのだ。

 

「すなわち、おなかの調子を整えることは、おなかだけでなく全身の健康にもつながるのです」

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