■室内での熱中症危険エリア
〈寝室〉
体温コントロールが難しく、水分補給をしない就寝中が危ない。エアコンのタイマー設定はしないほうがベター。
〈トイレ〉
体が弱った状態で、エアコンがなく水分補給もできない閉鎖空間にいることで熱中症が起こる場合も少なくない。
〈キッチン〉
火を使うため、調理中に高温多湿の環境になりやすい。さらに、アルコール片手の調理は脱水状態に陥るリスクを増大させてしまうので厳禁。
「エアコンが効いたリビングにいるからと安心しないでください。リモートワークやテレビ視聴など、なにかに集中していると水分補給を怠ってしまいがち。とりわけ危険なのが寝室。水分補給ができない睡眠中は体温を調整する力も弱っています。寝室の温度や湿度には気を配りましょう。タイマーを設定している人も多いようですが、明け方は脱水症状も進んでいて危険であるため、できれば朝まで通してエアコンをつけておくことが必要です」
エアコンがなく、狭い空間のトイレも高温多湿の環境になるため注意が必要だという。
「火を使う台所も熱中症リスクが高いです。缶ビールを片手に調理している人は要注意。アルコールは体内の水分を奪ってしまいます」
ステルス熱中症の対策には、やはり水分や塩分をこまめに補給することが大前提。さらに谷口先生は次のように指摘する。
「自分では水分補給をしているつもりでも、それが足りていない人が少なくありません。いまの時期は特に、時間を決めて、薬を服用するように水分補給をしていくことが重要です。起床後、食事の前後、トイレや入浴の前後……など、なにか行動をする前と後に、コップ半分でもいいので水かお茶を飲む習慣をつけるようにしましょう」
しかし、いくらこまめに水分を補給しても、それを吸収する小腸の状態が悪いと脱水状態を起こしやすくなってしまう。
「水分を食事から取る工夫も大切。水分が豊富な野菜や果物を積極的に取ることで、補給した水分やミネラルを体内に長くとどまらせることができます。また、水分と塩分、カリウムを同時に補給することができるみそ汁は熱中症予防には特にオススメ。暑いうちには、冷やしたみそ汁を取るのもいいでしょう」
食欲が落ちがちな季節だが、しっかり食事を取ることは不可欠。
今後も平年よりも高い気温が続く予報が出ている。外出中だけでなく、室内での熱中症にも気をつけて、自分の体を守っていこう。