■巣ごもり生活による「運動不足」も原因に
加えて、巣ごもり生活による「運動不足」も原因のひとつだと対馬先生は話す。
「体を動かす機会が減っていることも、更年期症状を悪化させる環境要因のひとつです。『運動はクスリ』といわれるほど、体を動かすことのメリットは多く、悩み事が吹き飛んだり、体の痛みや、便秘などの解消にもつながります。ところが、コロナ禍で外出が減り、座りっぱなしの生活が続き、運動の機会が奪われるとどんどん筋力が落ち、尿漏れなどの症状を悪化させてしまいます」
また、コロナ禍で不可欠となった「マスク生活」も更年期症状を悪化させる原因に。
「マスクをつけている時間が長く、人と会話する機会が減っているので、表情筋が衰えやすくなっています。ただでさえ更年期には、皮膚や粘膜のコラーゲンが減るため、さらにたるんできてしまうのです。そのせいか、最近は『マスクを外した自分の顔に愕然とする』とおっしゃる方がたくさんいます」
対馬先生は、コロナ禍による環境の変化で更年期のような症状が若い人にも増えていると指摘する。
「コロナ禍のストレスによって、みなさん自律神経の乱れからホルモンバランスを崩していて、比較的若い方でも更年期と同じような症状になっているようです。患者さんを診ていて、以前までは40代半ばからが多かった更年期症状ですが、最近ではそれ以下の年代でも更年期に似た症状が増えています」
そんな更年期症状だが、いざ自分に出たときには、どのような対策をすればいいのだろうか?
「更年期をうまく乗り越えるには、『自分は更年期だからしょうがない』などと諦めずに、自分の体と向き合っていくことが大切です」
具体的な対策法を対馬先生に教えてもらった。
まずは運動がおすすめだそう。
「体を動かすと、モヤモヤしていた頭がスッキリして、気分が晴れたり、不安や焦燥感を軽減させることができます」
加えて栄養バランスの整った食事が大切だという。
「女性はホルモンの影響で体重を適切に維持するのがむずかしい場合がありますが、過食や拒食に気をつけ、ビタミンやミネラル、タンパク質などバランスのよい食事を取り、自律神経の乱れを整えていきましょう」
続けて、対馬先生はメンタル面のケアに関してこう語る。
「小さな楽しみを失わないことが大切です。お花をめでたり、友達とおしゃべりしたり。女性は特に、コミュニケーションと共感が心を安定させるので、つらいときに気持ちを吐露できる相手を見つけておくといいですね。自分が言われてうれしい言葉はぜひ相手にも伝えてあげましょう」
■気分がふだんよりも3割落ちたら要注意
自分なりの対策で改善できる更年期症状だが、対馬先生は、医療機関を受診するタイミングについて、次のように話す。
「(1)ホットフラッシュ、(2)動悸、(3)だるさ、(4)不眠、(5)肩こり、(6)腰痛、(7)便秘、(8)尿漏れ、(9)摂食障害、(10)皮膚のたるみのなかから5つ以上の症状に当てはまり、かつご自身で『いつもの自分より3割、気分や体調が落ちているな』と感じたら受診のタイミングです。『更年期だから』と我慢しないで、気軽に受診するようにしてくださいね」
まだまだ終わりが見えないコロナ禍。
正しい知識と自分なりのリフレッシュ法を身につけて、更年期を乗り切ろう。