「“脳のゴミ”を除去するメカニズムがわかってきたことで、認知症の治療法の開発につながる可能性が出てきました」
こう語るのは、東京大学大学院医学系研究科の山田薫助教(脳神経医学)。
今もって根本的な治療薬がない認知症は、’25年には65歳以上の5人に1人がなるといわれている。
とりわけ認知症の6割以上を占める「アルツハイマー型」は、異常タンパク質「アミロイドβ」の脳内への蓄積が引き金となって、神経細胞の中に「タウタンパク質」(以下、タウ)がたまり、神経細胞が死んでしまい発症することが知られている。
ところが、タウはどんな人の脳内でも絶えず作られている。認知症を発症する人と、しない人がいることが謎のままだったーー。
今年2月、山田先生ら東京大学の研究チームが、タウが除去される仕組みを解明したと発表した。