認知症による行方不明者が1万8000人と過去最多! 家族の「徘徊失踪」を防ぐために知っておくべきサービス8
画像を見る 認知症徘徊による行方不明の数は年々増えている(写真:PIXTA)

 

■知っておきたい認知症にまつわるサービス8

 

まずは、各市区町村で発行している認知症に関する制度やサービス内容などが掲載されたガイドブック「認知症ケアパス」を地域包括支援センターなどで入手しよう。

 

【1】ケアマネジャー

 

介護のケアプランの作成、認知症介護で家族が困っているときの解決策の提案など、相談に乗ってくれる。

 

「現在介護保険のサービスを使っている要介護1~5の人は、ケアマネジャーに今直面している認知症の問題を相談してみましょう」

 

【2】かかりつけ医

 

薬の量のコントロールや、介護保険の介護サービスを受けられるように要介護認定の見直しをしてくれたりする。

 

「かかりつけ医も、症状を伝えると薬の種類や量を調整してくれるだけでなく、介護保険のサービスを多く受けられるように要介護認定の見直しも検討してくれます」

 

【3】認知症地域支援推進員

 

全国の市区町村には、認知症に関する相談、制度やサービスの案内などをしてくれる認知症地域支援推進員がいるので、徘徊の悩みや介護サービスのことを相談してみよう。

 

【4】認知症サポーター

 

認知症を正しく理解し、認知症の当事者やその家族の手助けをしてくれる。最寄り自治体の関係機関と連携を図り、見守りや傾聴、徘徊の早期発見・対応に貢献する。

 

【5】民生委員

 

厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員。高齢者世帯への訪問や見守り活動を行い、生活に関する相談に乗ってくれる。

 

【6】地域包括支援センター

 

前期高齢者で認知症の人は、要支援や自立など、要介護度が軽いケースが多い。「地域包括支援センター」で相談をすると、定期的に見守りをしてくれるほか、必要な行政サービスを教えてくれる。介護で困ったことがあったら真っ先に相談するべき機関。

 

【7】見守りネットワーク

 

認知症の当事者と家族にとって心強いのが、各自治体にある「見守りネットワーク」だ。高齢者が行方不明になったときに、警察だけでなく、地域の関連団体が捜索に協力して、すみやかに捜してくれる。

 

自治体によって運用の方法は異なるが、防災無線やSNSなどで行方不明になった人を迅速に捜すシステムが構築されている。自治体によっては、緊急通報装置などをレンタルしてくれることもあるので、地域のセーフティネットを知っておくと安心できる。

 

【8】認知症サロン

 

認知症の当事者やその家族などが定期的に集まり、参加者の介護経験を話したり、困っていることを相談する場。病院内や介護事務所、NPOなど民間団体でも実施している。

 

「いつも介護をされているご家族に伝えているのは、一人で抱え込まないこと。私たちの病院内では、当事者とその家族が参加できる『認知症サロン』(通称「欅カフェ」)を開催していますが、こういったコミュニティーに参加するのもいいでしょう。お茶を飲みながら介護者同士、情報交換できますし、認知症の当事者も体操や歌を歌うなどのレクリエーションに参加できます。参加するのを嫌がる当事者も多いのですが、いざやってみると楽しくなって続けて参加するようになります。人とつながりを持つことは脳の働きにとってもいいので、それがきっかけとなって、デイサービスなどの介護施設に通えるようになります。生活にリズムができますので、落ち着きが出て徘徊しなくなり、介護しやすくなるケースもあります」

 

認知症の介護は長期戦になることが多い。専門家や地域の支援も有効に活用し、対処していこう。

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