「秋バテ」「片頭痛」「関節痛」秋に起きやすい低気圧不調…気象予報士が語る天気との関係
画像を見る 気象予報士、健康気象アドバイザーの小越久美さん

 

■「秋バテ」を引き起こす秋の天気の特徴とは

 

夏の間、日本列島を覆っていた太平洋高気圧が弱まると、北へと押し上げられていた梅雨前線が南へ下がってきます。これが、秋雨前線です。梅雨前線も秋雨前線も天気図上では同じ「停滞前線」の記号で描かれ、一見すると違いがありません。

 

暑中見舞いのはがきが立秋を過ぎると残暑見舞いに変わるように、梅雨前線も立秋を過ぎると秋雨前線と呼び名が変わります。同じ停滞前線でも呼び方によって季節を感じられるようになりますし、秋雨前線が降らせる雨を「秋の長雨」「秋霖」などと呼ぶと、日本らしい風情が出ますね。しかし、一見同じと言っても梅雨前線と秋雨前線には違いがあります。梅雨はアジア全体の雨季の一部なのに対し、秋雨は日本特有の現象です。秋雨前線は、北から南下することが多いため北日本や東日本などの日本海側に多く雨を降らせるのが特徴です。

 

梅雨の間、どうにも体調がすぐれないという人は、秋も要注意。眠気、やる気減退、便秘などの不定愁訴が再来しやすく、梅雨はどうにか乗り切ったという人でも、秋になると落ち込んだ気分を盛り返すのが難しくなり、秋バテに陥る方も少なくありません。

 

この秋バテは、冬までズルズルと引きずってしまいがちです。

 

対策としては、とにかく秋が近づいてきたら朝から活動的になること。早起きをしたり、朝時間にストレッチをしたり、いつもより早歩きで歩いたりと、動き回ることで交感神経を上げてあげることが重要です。

 

また、食中毒が増えるのは夏より秋に多いといわれているので、衛生面にも注意を向けましょう。

 

■秋台風による気圧変化で自律神経が疲弊

 

夏の終わりから秋は台風シーズンで、大型の台風が多いのが特徴。台風といえば渦を巻き、グルグルとすごい勢いで進んでくるイメージがありますが、実は、台風はほとんど自分で進むことができません。

 

では、どうやって移動するかというと、偏西風にあおられるようにして進みます。この性質が、台風の進路に影響しています。

 

夏台風の場合、偏西風の影響を受けにくく、勢力はそれほど強くないけれど、のんびり進むため台風の影響が長引く場合があります。

 

対する秋台風の場合は勢力が強く、偏西風の影響をもろに受け、自動車並みの速度でグングン進みます。

 

台風は進路が定まりやすい一方、予想より早く、あっという間に通過してしまうこともしばしば。勢力が衰えないまま通過するので、広範囲に暴風をもたらすのが特徴です。このときに秋雨前線を刺激すると、大雨を降らせます。

 

春や秋に偏西風に乗ってやってくる低気圧の場合、気圧は2~3日かけて徐々に下がり、上がっていきます。ところが、台風の気圧変化は急激です。

 

半日から1日の間に、気圧が20~30ヘクトパスカルも下がり上昇に転じる、ということが普通に起こります。30ヘクトパスカルの気圧降下で、海面が30センチほども上昇します。海の水が30センチも上がるのですから、体への負担がどれだけのものか、想像できますよね。実際に、9月、10月は九州から関東にかけて湿布薬の売り上げが年間でピークになるようです。急激な気圧変化から片頭痛の症状も出やすくなります。

 

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出典元:

WEB女性自身

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