「納豆を朝食の定番としている人が多いと思いますが、腸の働きは就寝中にもっとも活発になるため、夕食時に納豆を食べたほうが、健康効果をすべて取り入れられます。
インフルエンザや風邪にかかりにくい体を作ることが期待できます」
そう語るのは、栄養士であり料理研究家の若宮寿子さん。
納豆の健康効果に注目し「酢納豆」などアレンジ料理を生み出してきた若宮さんに、免疫力を高める納豆の効果について聞いてみた。
■腸内環境を整えることが免疫力アップにつながる
「インフルエンザウイルスなど体内に入ってきた病原体は、白血球などの免疫細胞が撃退します。
免疫細胞の7〜8割は腸に存在し、そこから血液に乗って全身をパトロールして、ウイルスや病原菌を見つけては攻撃します。
つまり体の“防衛基地”である腸内環境のよしあしが免疫力アップのカギを握っているのです。
納豆には腸内細菌のエサとなったりお通じをよくしたりして腸内環境を整える食物繊維が豊富。
さらに納豆菌は腸内環境を改善する善玉菌の強力な応援団でもあります。
腸内には善玉菌と悪玉菌がいてそれぞれ勢力拡大を狙っています。
大豆から納豆に発酵する過程で『ジピコリン酸』という、抗菌作用が強い物質が作られ、それが悪玉菌を弱らせて善玉菌を元気にさせます。
その結果、腸内環境が整い、免疫細胞を活発にするのです」
免疫力をアップさせインフルエンザや風邪を予防する効果がある納豆菌だが、腸にずっとすみ着くわけではなく、すぐに便で排出されてしまうという。
「納豆菌は腸を通過するときに強力な“応援団”として、善玉菌をサポートします。
そこで毎日、腸のぜん動運動が活発になる就寝時に合わせ、夕食に納豆を食べることが重要です。
納豆をシンプルに食べるよりも、多様な栄養素と組み合わせることで免疫効果もさらにアップ。
納豆をほかの食材と組み合わせることで毎晩でも飽きずに食べつづけることができるでしょう」(若宮先生、以下同)
そこで、この冬の晩ごはんの定番にしてもらいたいインフルエンザに克つ「レインボー納豆」を紹介してもらった。
「納豆には良質な植物性タンパク質が多く含まれています。
タンパク質は免疫細胞が病原体を攻撃するときの目印となる『抗体』の材料になる栄養素でもあります。
免疫細胞がより力を発揮しやすいように動物性タンパク質が豊富な『しらす』(じゃこでも可)を加えるのがコツ。
しらすには免疫細胞の働きをよくするビタミンDもたくさん入っています。
また『メカブ』は善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維が豊富。善玉菌が活発になることで腸内環境が整いはじめるのです」
体内に取り込まれた酸素の一部は、体をサビつかせる有害物質“活性酸素”になる。
年齢を重ねると活性酸素を除去する力が衰え、血管を傷つけたり、免疫力の低下を招いたりするという。
「活性酸素を抑える『抗酸化栄養素』をしっかり取ることが重要です。
黒ごまには、強い抗酸化作用があるゴマリグナンやビタミンEが豊富です。
梅干しの梅酢ポリフェノールは抗酸化パワーが強く、ウイルスの増殖や感染を抑える効果が知られています。
また紫玉ねぎの色素には活性酸素を除去するアントシアニンがたっぷり含まれています。
さらに酢漬けしょうがには、しょうがと酢のダブルの抗酸化作用が期待できるのです」