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「保育園に通う息子(3歳)からうつりました。息子は手足に水疱がポツポツ出る程度で済みましたが、私は足裏、手のひら、口の中、そして熱が39度まで出て、フラフラに。とくに足裏は、歩くたびに突き刺すような激痛だったので、トイレに行くのも大変でした。症状は1週間ぐらいで治まりましたが、その後爪が?がれたり、足の皮がむけたり、もう二度と感染したくないですね」(東京都・30代主婦

 

本来、夏に流行する感染症「手足口病」の患者数が、いま全国的に急増している。

 

国立感染症研究所の最新の週データ(5月27日~6月2日)によると、1つの医療機関で1週間の感染者数が5人を超えると警報レベルとされているなか、群馬県の8.67人を筆頭に、福井県の8.36人、鹿児島県の8.04人など、12府県で警報レベルを超える状態となっている。

 

全国平均で見ても2.89人で去年の同時期の0.48人と比べ6倍の感染数で、すでに3万7千人以上が罹患している。

 

■大人が感染すると合併症のリスクが

 

「手足口病」とは、三大夏風邪の1つで、その名のとおり、手のひら、足の裏、口の中などに痛みを伴う2~3mmの水疱性の発疹が出るウイルス性の感染症である。

 

「5歳以下の子どもが最も感染しやすい病気です。子どもが保育園や幼稚園といった集団生活の場で流行することが多く、感染すると水疱発疹のほか、発熱や倦怠感を伴います。子どもの場合、発熱するのは3分の1程度で、多くは数日間で症状が治まります。

 

ただし、大人がかかると症状が重くなる可能性があり、髄膜炎、脳炎、心筋炎といった合併症のリスクも高まります。とくに妊婦や基礎疾患のある高齢者などは注意が必要です」

 

このように警鐘を鳴らすのは、日本感染症学会専門医で、東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授。

 

発熱(38度前後)や倦怠感以外にも、喉の痛み、関節痛、頭痛、咽頭痛、下痢、嘔吐などの症状も出るというから、軽い風邪程度だと甘く考えないほうがいい。

 

大人が「手足口病」に感染するほとんどのケースは、子どもからうつされる“家庭内感染”だ。そして感染した親が会社などに出勤し、職場にウイルスを持ち込むことで、感染をさらに拡大させる。

 

「感染経路は“飛沫感染”、“接触感染”、“糞口感染”(便の中に排せつされたウイルスが口に入って感染)です。発症原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16やエンテロウイルス71(EV71)と呼ばれるもの。

 

注意すべき点は、これらのウイルスは、ふだん、新型コロナの感染予防対策で使っているアルコール消毒液が効きにくいということです」(寺嶋教授、以下同)

 

コクサッキーウイルスの場合、症状が治まったあと、手足の爪が剥がれたりすることもあるという。

 

一方、EV71は、死に至るリスクもある髄膜炎や脳炎などを引き起こす可能性がある危ないウイルスなのだ。

 

例年、真夏の7月末~8月に流行のピークを迎えるが、今年は5月ごろから感染者が急増。

 

「考えられる理由は3つ。まず、コロナ禍の約3年のステイホーム期間で、免疫力を高めることができなかった。そしてコロナ禍が終わり、感染対策が緩み、マスクをする人、手洗いをする回数も減ったこと。さらに今年は、5月ごろから25度を超える暑い日が続いたことなどが要因として挙げられます」

 

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