彼岸も過ぎ、朝晩の冷え込みを感じるようになってきた。この季節、朝方になると、ふくらはぎのこむら返りを経験するという人、少なくないのではないだろうか。
「こむら返りとは、ふくらはぎの筋肉が痙攣し、激しい痛みを生じることをいいます。原因は、血行不良や筋肉の衰え、あるいは筋肉の疲労蓄積、ミネラル不足などさまざまありますが、気温が下がるこの季節は特に血行不良を招きやすく、こむら返りを起こす人が増えるようです」
こう話すのは足専門の整体を行う整足院院長の柏倉清孝さんだ。
一度ふくらはぎでこむら返りが起こると、のたうちまわるほど痛い。50代の記者も昔からこむら返りを頻繁に経験している一人だが、更年期以降、その痛みが一層ひどくなっている気がする。
そのメカニズムについて柏倉さんはこう解説する。
「こむら返りは前述のように、さまざまな体の不調が蓄積されたうえで発生しますから、こむら返りが起こった時点で、すでに体の不調がいくつもあるということです。
中高年になると体の衰えからくる不調になにかと直面しがち。そうした不調をひとつずつ、改善していくことが大切です」(柏倉さん、以下同)
まずは血流。血行不良が進むと筋肉が硬くなり、痛みを発生させる根本原因となってしまう。
「末端冷え性など、手足の指が冷えやすい人はもちろんのこと、腰痛のある人も、こむら返りになりやすい傾向にあります。というのも、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの腰痛がある人は、腰から足先への神経の伝達が阻害されるため、下半身への血流も滞りがちになるからです」
そのほかにも、外反母趾など足の指がうまく使えていない人、さらには糖尿病、腎臓病、動脈硬化や血管系の疾患がある人も、血流が滞りやすい体になっているのだという。
日ごろから湯船につかったり、ストレッチをして全身の血流を促したり、足指をしっかり使って末端冷え性を改善しよう。
次に関係するのが筋肉の衰え。
「運動量が足りないと筋肉が落ち、ふくらはぎに血液が巡らなくなります。すると酸素が十分に筋肉に届かず、乳酸がたまりやすくなって筋肉が硬くなってしまうのです。
硬くなった筋肉は縮もうとする働きが強くなり、朝方、足を動かそうとした瞬間、痙攣を起こすのです」
逆に筋肉の使いすぎもよくないのだそう。立ち仕事などでふくらはぎの筋肉を酷使することも、筋肉の収縮を妨げ、こむら返りを招くという。
「立ち仕事の人は、頻繁に屈伸をするなどして、ふくらはぎの疲労を軽減するようにしましょう」