「フツーに生きるのも難しい時代、子の将来を心配するのはどの親も同じですが、私は“自分でキチンと生きていく力”を身につけさせるのが大事だと考えます。それがすなわち“片づける力”なんです」
こう話すのは、収納に関する著書が25万部を超える整理収納アドバイザーで、幸せ住空間セラピストの古堅純子さん。「片づける力」の習得と聞くと、さぞかし厳しい整理収納トレーニングが必要なのではと想像するが……。
「いえ、片づけなんか、ざっくりでいいんです!」と、あっけらかんと笑う彼女に「片づけられる子の育て方」を伝授してもらった。
「まず、大切なのは発想の転換です。整理収納なんて聞くと、引出しの小物類までが整然と並んでいるのをイメージするかもしれませんが、私の収納術はぜんぜん違います。とにかく、“使ったものを元に戻す”という習慣を子どもにつけさせることなんです」
そのためにおすすめするアイテムが、「ざっくりBOX」と呼んでいる収納箱だ。
「高価なものは必要ありません。少し深めの段ボール箱に布を貼ったものでいいんです。リビングや子ども部屋の床に物が散乱していると、足の踏み場もなくてストレスもたまる。だから一時的に、ざっくりBOXに入れて“隠して”しまうんです」
子どもに「片づけろ」と命令するのは逆効果。「散らかさない」意識をいかに持たせるかが大事だという。
「そのために手っ取り早いのは、家事に参加させること。毎朝、母親がリビングで洗濯物を一緒に干すよう声をかければ、子どもは手伝うようになります。食事も各自、お盆を持って配膳する“給食方式”にして、食べ終わったら必ず台所に戻させる。そうした習慣が身につけば、大事な物事も自分で決めて、自分で選ぶことができるようになる。そう、“片づける力”は“生きる力”につながっていくのです」