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「あまり夕食の支度に時間をかけたくない……しかし、あと1品おかずが欲しい。そんなとき、コンビニのホットスナックやお総菜がとても使えるんです。素材や製法の観点から見ても、いま、コンビニ総菜は『安心・おいしい』を実現できています」

 

そう語るのは、コンビニジャーナリストの吉岡秀子さん。コンビニのレジ横には、フライドポテトやフライドチキンなどの揚げ物コーナーがある。これらのいわゆる「ホットスナック」のなかには、若者を中心に大ヒットした、ファミリーマートの骨なしチキン「ファミチキ」など、人気商品も。

 

だが、この数年、ホットスナックコーナーに大きな変化が起こっている。から揚げ、コロッケ、春巻きなど、どんどん種類が増えているのだ。その過程をコンビニ研究家の田矢信二さんはこう語る。

 

「コンビニのホットスナックは、若者や単身者に向けた『おやつ』という感覚でしたが、いまはターゲットを主婦に変えてきているんです」

 

セブン−イレブンは、それまで“おやつ”だったホットスナックを、“おかず”へと変えているという。

 

「しかも、夕食を準備する17時という時間帯に、商品を充実させるという徹底ぶり。夕食の買い物に行った際に、おかずの1品として購入しやすいように考えたのです。またから揚げにしても、数種類の味をそろえたことも、女性を意識した戦略のひとつ。そこにほかのコンビニが追随してきました」(田矢さん)

 

セブン−イレブンのホットスナックコーナーをのぞいてみると、から揚げや数種類のコロッケなど豊富な総菜が並ぶ。セブン−イレブンの広報担当者は、主婦から好評という「ホットスナックコーナー」の秘密を教えてくれた。

 

「から揚げは1個50円から販売しているので、まとめて5個、10個と、家族の人数に合わせて買っていく主婦の方もいらっしゃいます。スーパーに行くより近いコンビニで、安くてできたてのお総菜がそろうと好評です。“おいしさ”の秘密は、製法へのこだわり。コロッケは、じゃがいものむき方からこだわっています。家庭だとピーラーでむいてしまうことも多いのですが、実はじゃがいもは皮に近い部分に栄養やおいしさがつまっているんです。工場では高温のスチームで蒸し、皮を薄くむく工程をいれることで、じゃがいも本来のおいしさを残しています」(セブン−イレブン広報担当者)

 

また、ミニストップでは、ちくわの穴の中にポテトサラダを詰めて揚げた総菜「ちくわ天」が人気。九州の熊本が発祥とされる「ちくわサラダ」という総菜をアレンジしたもの。地方の珍しい総菜が、食卓を盛り上げているという。

 

かつては学校帰りの若者のおやつだったホットスナック。「味が濃くて、脂っこい」というイメージを“ヘルシー志向”によって刷新したことも、主婦がコンビニ総菜を受け入れだした理由の1つだという。前出の吉岡さんが説明する。

 

「ローソンは、’13年から店内調理に使う油を全店でヘルシーオイルに切り替えました。ファミリーマートも同様にコレステロールがゼロの油を使っています」

 

食卓に上がりやすい焼き魚やサラダなど、パウチに入ったコンビニ総菜も増えている。

 

「パウチに入った総菜は、賞味期限が長く、食べきりサイズです。冷蔵庫で保存できるので、ちょっとした買い置きにも便利です」(ローソン広報担当者)

 

和食を中心に広がっているパウチ総菜は、1パック数百円程度。卵焼きや肉じゃがなどが調理済みでパウチされているので、調理に手間をかけずにすぐに食べられることで主婦層に人気が広がっている。

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