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高齢ドライバーによる死亡事故のニュースを聞くたび「ウチの親は大丈夫か?」と心配する人も多いはず。年々増え続ける高齢ドライバー対策として、来年3月から施行される改正道路交通法では、75歳以上のドライバーは、免許更新時と、違反行為(信号無視、一時不停止など)をしたときに、臨時認知機能検査を受けることが義務付けられることになった。

 

また、全国の警察は高齢ドライバーに対して、免許の自主返納を促しているが、そう簡単なことではないようだ。家族が運転をやめてほしいと、いくら説得しても“オレは大丈夫”と話し合いにも応じないパターンがほとんどだという。

 

「『オレの(運転の)どこが危ないのか言ってみろ!』といった各論になるケースが多いですね。だから本気で話し合いをするのなら、親の車に同乗して、実際の運転状況を把握しておく必要があります。たとえば、ブレーキを踏む、ウインカーを出すタイミング。スピードや車間距離など、どこが危ないかを指摘できるようにしておきましょう」

 

そう語るのは、認知症研究の第一人者で、とくに老年学、アルツハイマー病に詳しい「メモリークリニックお茶の水」の朝田隆院長。朝田院長によると、高齢ドライバーが事故を起こすいちばんの原因は「注意力」の低下だという。そこで朝田院長に、ドライバーの「注意力」をチェックするためのポイントを挙げてもらった。

 

【1】走行方向の安定

「車間距離を保ち、左右にフラついたりすることがないかを確認してください」

 

【2】意識の分割

「信号機のない交差点から突然クルマが出てくるかもしれない。あるいは、子どもが飛び出してくるかもしれないような場所で、正面以外の左側、右側からの危険性を意識しながら運転しているかどうかを見ましょう」

 

【3】危険予測

「学校のグラウンドの横を走行中は野球のボールが道路まで飛んでくるかもしれない。そういった想定外のことに備えた意識を持って運転しているかどうかも大切です」

 

【4】反射神経

「ブレーキやウインカーを出すタイミングなど、動作が俊敏にできているかどうかをチェックします」

 

【5】スペース&距離感覚

「車庫入れや幅寄せの際、クルマの前後左右を擦ったり、縁石に乗り上げたりすることはないかどうか。自分のクルマと車庫の大きさ、距離感覚がズレていないかどうか、確認してください」

 

【6】街並み記憶

「これは“視覚記憶”とも言います。たとえば、いつもは目印にしている看板の先の信号を曲がっていたのが、記憶が曖昧だと、『あっ!』と気づいた瞬間に急ハンドルを切ったりする。このようなことが何度かあれば要注意です。記憶は言葉だけではなく、街を見たときに、この先を曲がれば目的地に着けるといった視覚記憶がある。建物の形、人の顔、街並みなどの記憶は右脳で判断します。その右脳が衰えてくると視覚記憶も曖昧になってしまうのです」

 

以上6項目のなかで、1つでも気になる点が見つかれば、親に対して運転免許を返納してもらうための説得材料にできるはず。それでも親が納得してくれない場合には、専門医に相談し、診断のうえ直接本人に告知してもらう方法も検討してみよう。

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