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《肺がんや皮膚がんに使用される、100mgで約73万円もする超高額がん治療薬「オプジーボ」が、来年2月から半額の約36万円に引き下げられることが決まった》

 

こんな報道が大きな話題となっているが、オプジーボは体重66キロの人が1年間(26回)投与した場合、3,800万円。半額になっても1,900万円のため、思わず“お金がないなら、死ぬしかないのか”と感じた人も多いはず。

 

「がん治療は、まるで高級すし店のように値段がわからないまま“おまかせ”状態で受けている人が多いのが現状です。患者さんは“がん”という病気に対する不安とともに、経済的な不安とも戦わなくてはならないんですね」

 

そう指摘するのは、再生・細胞医療の研究開発を行っているメディネットの笠井篤さん。同社では部位や進行度でどのくらいの治療費がかかるのか簡単に計算できるWEBサイト「がん治療費.com」を運営しているが、これも“がん治療のお値段”に関する情報が乏しいからだろう。正しい知識が得られて、ひとつでも不安を軽減できれば、治療にも専念できるはずだ。

 

「たとえばオプジーボにしても、肺がん治療で服用する場合は保険が適用されるので、3割負担となります。さらに高額療養費制度を利用すれば、実質的な個人負担は数十万円で済むはずです」

 

まず治療費を知るうえで基本となるのが、この高額療養費制度だというのは、がん研有明病院の放射線技師で、ファイナンシャルプランナーの資格を持つ内田茂樹さんだ。

 

「これは1カ月間に支払う医療費で自己負担限度額をオーバーした分が返金される、社会保険や国民健康保険の助成制度です。たとえば、年収が370万円から770万円までの70歳未満の人なら、1カ月の医療費の上限額は8万100円+αになります」

 

つまり、もし1カ月の治療費が100万円かかっても、健康保険によって窓口支払いは3割負担の30万円となり、さらに高額療養費の手続きをすれば、8万7,430円を超える部分、つまり21万円余りが戻ってくるのだ。

 

「そのうえ、治療が長期化し、直近の1年間で制度を3回以上利用した場合、4回目以降は上限額が4万4,400円に引き下げられます(70歳以上の高齢者は、来年8月から現役世代並みに負担増となることが検討されている)。また、入院する前に『限度額適用認定証』を発行して医療機関に提示すれば、“立て替え”の必要がなく、窓口の支払いは上限額までとなります。とくにがんが告知されてからの1年間はもっともお金がかかるので、制度をしっかり理解しておきましょう」

 

がんが見つかると、まず血液や尿検査、腫瘍マーカーの測定、内視鏡検査やMRIなどで治療方針を決定し、そのうえで入院、手術、抗がん剤や放射線を組み合わせた治療が始まる。

 

「そればかりでなく、がんは一般的に5年、乳がんの場合は10年もの経過観察が必要といわれています。2年目以降もがんの種類、進行度によっては再発防止のための抗がん剤治療や定期検診を受けるため、長い期間“つきあっていく”病気といえます」

 

療養期間が長くなれば、医療費もそれだけ積み重ねられていくと、前出の笠井さん。

 

「切除不能は進行した大腸がんの場合、高額療養費制度を利用しても、抗がん剤治療で、自己負担額は2年間で128万円にも及びます」

 

公的制度を受けられるのは、当然、保険が適用される診療においてだ。

 

「日本では、“混合診療”が認められていないため、通常、保険診療と自由診療を組み合わせると、保険診療を含めた全額が自己負担となります。一方、先進医療として認められた治療は、保険診療に関しては保険が適用され、先進医療のみ自己負担となります。とはいえ、先進医療の陽子線や重粒子線の治療は200万円から400万円かかります。また。たとえば肺がんで保険診療となっているオプジーボも、乳がんや子宮がんで使用すると“適応外使用”となるので、全額自己負担となるのです」

 

肺がんの場合、胸腔鏡手術のみで済めば1年目の負担は12万円だが、肺がんの最新治療でがん細胞を破壊する力が通常の放射線治療で用いられるエックス線より2〜3倍強く、肺がんにも有効といわれている「重粒子線治療」の場合は350万円と、負担が大きくなる。

 

「日本人の2人に1人が罹患するという“がん”は、もはや国民病。“来るべき病い”に立ち向かうため、治療法を知るだけではなく、治療費の準備もしておかなくてはなりません」(笠井さん)

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