自分の身長ほどもある仏壇を、実家から自宅に移動させるのは、あまりに手間がかかる……!そんな悩みを解消してくれるのが、最新の「仏壇」だ。引っ越しや家の建て替えを機に、新調する人も増えているという。
「家を新築・改築する際や、マンション購入などの際、昨今は『仏間』を設けない方が増えてきていますので、人の身長ほどもある大型のものよりも、『上置仏壇』という高さ40〜90センチほどのお仏壇が人気。家具やテレビボードの上に置くことができるんです」
こう話すのは、東京「大野屋メモリアルギャラリー国分寺」の筒井厚吏さん。
「当店では、『上置』のなかでも、おもに『伝統型』と『家具調』の2種類があり、置く空間や好みで選べるようになっています。伝統型は、お寺のお堂のなかをイメージしたつくりですので、仏間や和室などにふさわしいお仏壇です。また、家具調は仏間や和室がない方が、リビングや洋間などに置くことも想定してデザインされた、すっきりとした家具のようなお仏壇です」(筒井さん)
東京「はせがわ・大泉学園店」の増野善一さんがオススメするのは、リビングルーム仏壇「ソリッドボード・ジャスト」シリーズ。
「日本を代表する家具メーカー『カリモク家具』さんとの共同開発商品で、テレビボードや専用の下台などの上における商品です。当店では’15年5月のオープン以来、通常の商品に比べると5倍以上も売り上げがあるんです!」(増野さん)
高さは49センチ、ナチュラルな木目が特徴的だが、所々にみられる木の節目の変化は「業界の常識になかった」という。
「40〜50代で初めて購入されるお客さまは、リビングに置くことを想定される場合が多い。自宅に友人などの来客があったときに重々しくならないように、扉を閉めておいたままでもインテリアとして使えます」(増野さん)
上置、家具調……かつての常識を覆すようなクールな商品がどんどん増えている。その背景を、葬儀・お墓・終活コンサルタントで社会福祉士の吉川美津子さんは次のように語る。
「伝統的なスタイルが尊重されてきたかつてに比べ、『それで仏壇という文化がなくなってしまうくらいなら、現代の事情に合った形に変えてでも、そのマインドを残したほうがいい』という価値観が広まりつつあります。その結果、こうしたさまざまなスタイルが生まれてきたんです。形は変わっても、先祖を敬い、お祀りするという思いは変わらない。それこそが受け継ぐべき『縁』なんです」(吉川さん)
大事なのは、亡き人を供養する気持ち。形にとらわれず、気に入った仏壇でデビューしよう。