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「10月1日から、ヤマト運輸の宅急便料金が上がります。原因となったのは、今年の春先に発覚した、配達員の長時間労働問題。ヤマト運輸は労働環境の改善を余儀なくされ、大口顧客への値上げ交渉や、配達時間指定のうち12〜14時枠の廃止などを先行実施しました。そしてついに、一般顧客の料金値上げに踏み切ります。消費税増税以外では27年ぶりのこと。140〜180円上がりますが、今回はやむを得ないと思います」

 

こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。とはいえ、家計にとっては痛手に違いない。だが実は、値上げと併せて新しい割引サービスも導入される。そこで、荻原さんが新しい割引サービスと、その賢い使い方を解説してくれた。

 

「まずは『デジタル割』です。ヤマト運輸の営業所にある『ネコピット』というタブレット端末などで送り状を作成すると、50円引きになります。次に、『宅急便センター直送サービス(仮称。以下、直送サービス)』です。荷物の受取り場所として、営業所を指定すると50円引きです。荷物は、指定した営業所まで引き取りに行かねばなりません」

 

これまでも、コンビニなどの取扱店や営業所などに荷物を持ち込むと、100円引きになる「持込割」があった。これは継続され、先の新割引サービスと併用できる。

 

「営業所に荷物を持ち込み(持込割)、ネコピットで送り状を作成し(デジタル割)、配送先に営業所を指定すると(直送サービス)、3つの割引合計は200円。値上げ分を超える割引になります。客側が荷物を取りに行ったりすることで、集配業務は効率化されます。手間をかけた分、料金の割引につながるので、工夫して活用しましょう」

 

ほかにも「クロネコメンバー割」がある。

 

「登録料無料の『クロネコメンバーズ』になると、プリペイドカード機能を持つ会員カードが送られてきます。カードに5,000円以上チャージして、料金をカードから支払うと、10〜15%引きになるというものです。これは従来からある割引サービスですが、さらに10月からは、クロネコメンバーズが営業所に荷物を持ち込むと「持込割」がメンバーズ以外(100円)より優遇されて150円になります」

 

一般的に企業は顧客を囲い込むため、会員の優遇や割引を行う。「クロネコメンバーズも同様です」と荻原さん。

 

「離れて暮らす親や、一人暮らしの子どもに定期的に荷物を送る人など、宅急便をよく利用する人には、お得なサービスです。逆に、利用する機会が少ない人は、チャージ金が余ってしまうとムダです。どれくらい利用するかを考えて、判断してください」

 

また、佐川急便も11月21日から、60〜230円値上げすると発表。割引制度がどうなるか、注目したい。

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