「顔と同じように足の形も十人十色。足を測る前にまず自分の足をよく見てください。タコができていないかとか指が曲がっていないかとか。日ごろの歩き方の癖は、きっと足の形にも出ているはずです」
そう語るのは、「一般社団法人 足と靴と健康協議会」の事務局長で上級シューフィッターの木村克敏さん。第5、第6話が視聴率16%超とますます追い風で快走中のドラマ『陸王』(TBS系・日曜21時~)。経営危機に陥っていた老舗足袋業者「こはぜ屋」が足を痛めないランニングシューズの開発に挑戦するという企業再生物語だが、ここで鍵となるのが『シューフィッター』の存在。いわば“靴合わせのプロ”で、百貨店や専門店などで靴を選ぶ際に足や靴の相談にのってくれる人たちだ。
現在、認定シューフィッターは全国で3,800人以上。なかでも、今回のドラマで演技指導を依頼されたのが木村さん。撮影現場では、カリスマシューフィッター・村野尊彦役の市川右團次に、靴の持ち方、履かせ方といった所作、靴のチェックの仕方などをアドバイスしている。
第5話での茂木裕人選手(竹内涼真)の「こんなにも気持ちのいいシューズ(陸王)は初めて」というセリフに感動した人も多いと思うが、私たちも、あんな“快感シューズ”に出会えるのだろうか?
「もちろんです。ただそのためにはまず自分の足をよく知る必要があります。実際には、正確な足のサイズを知らない方がほとんどなんです」(木村さん)
足のサイズには長さのほか、幅、つま先など、いくつかチェック項目があるという。そこで木村さんに、正確な足のサイズの測り方と靴選びのポイントを教えてもらった。
まずは、足のサイズの測り方と足の形パターンを紹介。
【足の測り方】
測定は立ち姿勢で両足に均等に体重を。測るのは3カ所。
(1)「足長」かかとからいちばん長い指までの長さ。
(2)「足囲」親指の付け根と小指の付け根のいちばん広い部分の外周。
(3)「足幅」親指の付け根から小指の付け根の幅。
【足の形パターン】
つま先のタイプは大きく3つに分類される。
(1)「エジプト型」親指が最も長く、小指まで順に短くなっていくタイプ。日本人で最も多く、7~8割程度が該当。
(2)「ギリシャ型」次に多いタイプで第2足指がいちばん長い。日本人の約2~3割。
(3)「スクエア型」親指から第3足指まで長さがほぼ同じ。
※どんな靴も「つま先に1センチ程度の余裕」が共通の条件だ。
【パンプスの選び方】
木村さんは「最も選び方が難しい」と話すのがパンプス。
「理由は、足の甲部分を止めるものがないために、足先、母指球(足裏の親指の付け根)、かかとの3点すべてがぴったりとフィットすることが求められるからです」(木村さん)
最初に自分のつま先にあったタイプを確認する。ギリシャ型のつま先にはハイヒールの代表的なスタイル「ポインテッドトー」が合う。エジプト型にはとんがった先が親指側に寄っている「オブリークトー」、スクエア型には「ラウンドトー」を選ぶとよい。そして、履いたときのつま先の状態を注意深くテスト。つま先が入りすぎていると、歩いているときにパンプスからかかとが浮いてしまう。
【ブーティ・ウオーキングシューズ】
ブーティは甲の部分が靴の内側に当たらないものを。また足指の付け根が曲がる部分と靴の曲がる位置が合っていて、くるぶしに靴の端が当たっていないことも確認。ウオーキングシューズも足指の付け根部分がスムーズにしなるかをチェック。ひもがあるからと大きなサイズを選びがちだが、靴の中で足が動くものは問題外。着脱時は必ずひもをほどくこと。足首部分が緩いと、かかとや靴底、甲部分などの傷みが早くなる。
木村さんは、靴を買う前の試し履きも大切だという。
「試し履きでは実際に周囲を歩き回ってみましょう。体重を靴にかけた状態で足の感触をみることが大切です。足が靴の中で動いていないか、つま先が痛くないかなどをしっかりと確認してください。そして試し履きは“体調のよいとき”にしたほうがベターです。タイミングは人によって異なりますが、夕方になると血流が悪くなり足がむくむという人もいらっしゃいますから。目的の靴を履く前に、少し歩き回って全身の血流をよくしておくとよいでしょう」(木村さん)