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これから迎える人生の後半戦には、新しい「自分らしさ」と出合うための趣味が必要。それは浮き沈みの激しい芸能界を生き抜いてきた大女優でも同じこと。その活躍の陰にあった意外な「趣意」の存在とは。

 

「私がDIY(家具などを手作りすること)にハマったのは、20代前半。仕事でヨーロッパへ行ったことがきっかけでした。若いご夫婦のご自宅で、手作りのキッチンを見せていただいたんです」

 

こう語るのは、女優の中田喜子さん(64)。ヨーロッパでは階段だけ、キッチンだけなど、家のパーツが店で売られており、その夫婦は自分たちで自宅をリフォームしていた。

 

「素朴なキッチンでしたが、『お金をかけずにここまで立派なものが作れるんだ』と衝撃を受けました。そして、自分でもやってみたい、自分なら何ができるかと考え、帰国後すぐに、壁紙を貼り替えてみることに。当時はハウツー本もありませんでしたから、文字どおり手探りでのスタートでした」(中田さん・以下同)

 

そのほかにも、中田さんは汚れた木製の家具にやすりをかけてきれいに塗り直したり、いすの座面を張り替えたり。カーテンに別の生地を付け足して雰囲気を変えてみたりと、試行錯誤しながら、いろいろなことにチャレンジしていった。

 

「30代に入ると、家の壁の左官までやってしまいました(笑)。一軒家の壁をすべて塗ったんです! それも、もちろん我流。東急ハンズやメーカーに電話でやり方を聞いて、2週間ほどで仕上げました」

 

DIYの魅力は、「こんなに変わった、こんなに素敵になったという達成感」だと中田さん。

 

「ある程度の年齢になると、感動や達成感ってなかなか味わいにくくなりますよね。おウチもキレイになりますし、この布をどこにどうやって使おうかなんて考えていると、ワクワクします。だから、私の家には問屋で仕入れた布のストックがたくさんあるんですよ」

 

若いころの中田さんは、仕事とプライベートの切り替えが下手だったという。

 

「でも、DIYをするようになってからは、オン・オフをうまく切り替えられるように。あと、もっと上手に仕上げたいという気持ちから、作業の手順を事前に整理し、緻密に作業をするようにもなりました。そうした行動や思考の変化は、仕事にもプラスになりましたね」

 

ヨーロッパではこだわりのインテリアを人に見せたくて「ウチに見に来ない?」と誘い合うことが多いそう。

 

「日本ではご自宅に遊びに行くというのは、なかなかハードルが高いですよね。でも、私はDIYの経験を積んだおかげか、インテリアの相談でご自宅に招かれることもけっこうあるんですよ。こうしたお付き合いのきっかけができるのもDIYの魅力のひとつかもしれません」

 

そして、中田さんはこう続ける。

 

「何をやるにしても『面倒くさい』と思うこと自体が、脳の老化の始まりだといいます。最初から無理だと思い込まずになんでもやってみる。たとえ手探りでも一歩踏み出してチャレンジしてみる。そうすることで、50代からの人生もまだまだ楽しいものになっていくと思います」