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ハラスメントによる失脚者が続出中の国、ニッポン。「生きづらい世の中になった」なんて思っているそこのアナタも、“加害者”になっている可能性が……!?

 

「たとえ親切心から言ったことでも、相手がイヤだと思えば、それはハラスメント。この事実に気づかない人が、実は中高年の女性に多いのです」

 

そう語るのは『高学歴モンスター 一流大学卒の迷惑な人たち』『嫉妬をとめられない人』(ともに小学館新書)などの著書がある、精神科医の片田珠美先生だ。長年の臨床経験にもとづき、現代人が抱える心の問題を分析している。

 

想像力の欠けている中高年女性のハラスメント=「オバサンハラスメント」、略してオバハラをしてしまうのは、心の奥底に潜んでいる“毒”が原因だと片田先生は指摘する。その“毒”は、(1)欲求不満、(2)羨望、(3)他人の不幸は蜜の味、の3つに大きく分けられるという。

 

私たちがこのハラスメントに陥る背景には、社会の大きな変化がある。現代は、女性が抑圧されていた社会から、女性が活躍する社会へと移り変わる過渡期。新しい価値観の中で生きる若い世代に、中高年のわれわれが羨望の感情を抱くため、オバハラが発生するという構造だ。

 

セクハラやパワハラのニュースに怒っているのに、実は自分がハラスメントの加害者だったーー。そんなことにならないよう、私たちが陥りやすいオバハラの典型発言をピックアップ。片田先生が解説してくれた。

 

■離婚した人に……「子どもがかわいそうね」

 

「シングルマザーに対して『子どもがかわいそう』と言う人は、同情するふりをしながら『かわいそうじゃない自分』を再確認し、自分が相手より優位に立つことで快感を覚えています。シングルマザーになれば、精神的にも経済的にも大変なのは、当事者がいちばんわかっています。それをあえて指摘するのは離婚ハラスメントです。心配するふりをしながら、グサッと傷つける発言をする人を、『フレンド』(友)と『エネミー』(敵)を合わせた造語で『フレネミー』と呼びます。『だって実際にかわいそうだもの。本当のことを言って何が悪いのよ』と思った人は、不幸話を聞きたいという好奇心が本当になかったか、自分の心に聞いてみましょう」(片田先生・以下同)

 

■独身の人に……「そろそろ家庭を持ったら?」

 

「この発言は、マリッジハラスメントです。現代社会では昔に比べて生き方が多様化し、結婚や子どもを産み育てることだけが幸せだと思わない人も増えています。自分と違う価値観を受け入れず、自分の歩んできた人生こそ正しいのだと押し付けるのは、視野が狭いからです。幸せの形は人の数だけあります。自分の尺度だけで発言することが、ハラスメントの根源だということを忘れてはなりません」

 

■LINEに……「忙しいなら、返事はいいわ」

 

「このようなソーシャルハラスメント発言が問題になるのは、自分をむげにできないとわかっている相手の場合です。子どもや息子の嫁に対するLINE、後輩に対するメールなどがあてはまります。『寂しい』『かまってほしい』という欲求が強いのに、それが満たされていないので、LINEやソーシャルメディアなどでのつながりを求めます。巧妙なのは、『返事はいらない』と言いつつ、暗黙のうちにプレッシャーをかけていることです。多用すると嫌われるのでご注意を」

 

■子どもを産まない女性に……「卵子の老化って、知ってる?」

 

「2012年、『クローズアップ現代』(NHK)で放送された『卵子の老化』以降に増加した卵子ハラスメントです。この発言は、子どものいる女性が、『子どものいないあなたはより私より不幸なの!』と相手に思い知らせたい、明らかなマウンティングです。他人をおとしめることで『自分のほうがまだマシ』と思いたい、そして相手に『不幸なんだ』と思わせたいという悪意があります。『卵子の老化を知らないなら、私が教えてあげなければ!』という親切心で言った人もいるでしょうが、相手が不妊で悩んでいる可能性や、子どもを望んでいない可能性を考えていません。現代では6組に1組のカップルが不妊といわれています。想像力の欠如した『フレネミー』の典型です」