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「これまで“人並み”と思われていた人生から転落する人が増えています。実は『自己破産』が最多なのは40代で27.02%。次が50代で21.05%。40代と50代で約半数を占めているのです(日本弁護士連合会’14年調査・以下同)。真面目に生きていても、何かのきっかけで、一気に借金地獄に転落してしまうーー。よく『老後破産』が問題だといわれますが、本当に怖いのは、40代、50代での『老前破産』なのです」

 

こう語るのは、『老前破産ー年金支給70歳時代のお金サバイバル』(朝日新書)を出版した、経済ジャーナリストの荻原博子さん。この本で、荻原さんは“普通の人”が借金地獄に陥る現実に触れ、その対策を提示している。

 

給料が上がらない、ローンが終わらない、残業カットに増税、そのうえ年金支給も先送り!?ーー。その結果、招きかねない「老前破産」という悲惨な結末を避けるため、荻原さんは家計のダウンサイジングをすすめている。まずは次の5つの方法から検討してみよう。

 

【1】生命保険の見直し

 

「サラリーマン家庭なら、万が一、夫が亡くなっても『遺族年金』として、本人が受け取るはずだった年金額のおよそ4分の3が支給されます。これをベースにして、妻がパートなどで働けば、生活費はまかなえると思います。ただ、遺族年金だけでは足りないのが、子どもの教育費です。それを補うものが生命保険だと考えると、子どもが社会人になったら、多額の保険金は不要、と割り切ってもいいのではないでしょうか。生命保険の見直しには、「払い済み保険」という方法もあります。今の保険を解約し、受け取った解約返戻金で、終身保険の保険料を一括で払い込むものです。死亡保障額は減りますが、その後の保険料負担はゼロ。これで、今まで払っていた保険料を貯蓄に回すことができます」(荻原さん・以下同)

 

【2】通信費などの見直し

 

「いわゆる大手の携帯会社から、格安スマホに乗り換えれば、通信費が抑えられます。平均月額料金を比べると、大手利用者が7,876円に対し、格安スマホは2,957円です(’17年3月・MMD研究所)。その差は4,919円。家族4人で乗り換えれば、月約2万円を貯蓄に回せます」

 

【3】自家用車の見直し

 

「自家用車は本当に必要ですか? 車を持つと、車本体にかかる費用のほか、駐車場代や自動車保険、自動車税などもかかります。最近では便利なカーシェアリングも増えています。車は、必要なときだけ借りれば十分、という人も増えています。地方にお住まいで、どうしても車が必要な方には、やはり軽自動車がおすすめです。一般的な乗用車の自動車税が3万4,500円なのに対し、軽自動車では1万800円。年2万3,700円も『節税』できます。燃費もいいので、ガソリン代も安く抑えられます」

 

【4】投資より貯蓄で備えよう

 

「『投資信託なら安心』という宣伝をよく見かけます。でも、絶対安心な投資商品などはありません。それに、安心感をうたう投資商品は、利回りの低いものが多く、手数料などを差し引くと、本当に利益が出るのか疑わしいものも多いのです。40代、50代はもう失敗できません。投資より、コツコツ貯蓄で確実にためましょう」

 

【5】健康第一で長く働こう

 

「自営業の方が『退職金がない』『国民年金だけでは暮らせない』と嘆く気持ちはよくわかります。でも逆に、定年退職がなく、現役で長く働けることは大きなメリットだと思います。会社員の方も、健康に注意して長く働きましょう」

 

家計の見直しは、場合によってはライフスタイルを変える必要も。そのため、何より大切なことは家族で話し合うこと。皆で家計の健全化計画を立て、一致団結して“借金減らして現金増やせ”にまい進しよう!

経済ジャーナリスト

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