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「好不調の波はありますが、母の認知症は少しずつよくなってきています」

 

こう語るのは、ブログ「婚活しながら両親介護」の筆者で、認知症の母親(74)の介護をしている映像ディレクター・黒澤うにさん(38)。

 

黒澤さんの母親に異変が現れたのは’15年10月ごろ。病院でアルツハイマーの薬を処方してもらうが、副作用がひどく中断。なすすべもないまま、昨秋には食卓の用意や買い物も難しくなり、手に持っていたものを忘れることも。連日、母親は泣きながら黒澤さんに電話を入れるようになった。

 

仕事に支障が出るようになったことで、黒澤さんはアメリカで医師をしている友人に相談。すると、認知症の世界的権威であるデール・ブレデセン医師の著書を薦められたという。

 

同書は全米で20万部を突破。日本でも2月に翻訳本『アルツハイマー病 真実と終焉』(ソシム)が出版され、わずか2週間で2万5,000部というベストセラーになっている。

 

「さっそく本に書かれていた『リコード法』を、やれることから取り組みました。まず、野菜と天然の魚が中心の食事にし、できるだけ炭水化物を減らしました。また、ココナツオイルをコーヒーやサラダなどにかけ、夕食から朝食まで12時間は絶食。積極的に歩く習慣を11月下旬から始めたんです」(黒澤さん)

 

気がつくと、母からのSOSの電話も減り、食事も1人で作れるように。買い物でパニックになることもなくなったという。

 

「今や、4人に1人が認知症になる時代。うち6割がアルツハイマー型認知症です。今までは進行を抑えることはできても回復ができないということが、患者や家族を脅かしていました。しかし、ついにブレデセン医師がアルツハイマー型認知症発症の原因を突き止めたのです。世界で初めて、症状が回復することを、この本で明言しています」

 

こう語るのは、同書の日本語版の監修を務めた白澤卓二先生だ。

 

「これまでアルツハイマー型認知症は、アミロイドβという異常なタンパク質が脳にたまることで神経細胞が死に、記憶をつかさどる海馬から脳の萎縮が始まることで発症すると考えられてきました。しかし、ブレデセン医師の研究により、アミロイドβはむしろ脳を守る物質ということが判明したのです。ただし、このアミロイドβが過剰に蓄積されることで暴走し、守るべき脳細胞を破壊するということがわかりました」(白澤先生)

 

そしてアミロイドβが過剰に蓄積される原因が、次の“NG生活習慣”。1つでも当てはまれば、アルツハイマー型認知症になる可能性大!

 

□炭水化物や甘いものが好き

□胃酸を抑える薬をよく飲む

□夕食時間が遅い、または夕食後に間食をする

□定期的な運動習慣がない

□睡眠時間が7時間未満

□家にカビが生えている

 

炭水化物や甘いものを食べると、糖分などが血糖値を上げることで、脳の炎症を誘導する。

 

そして胃酸を抑える薬には亜鉛やマグネシウム、ビタミンB12など、認知機能にとって重要な栄養素の吸収を阻害する働きがあるという。

 

また、不規則な食習慣は糖尿病の発症を促すが、この糖尿病こそがアルツハイマー型認知症の最大の原因の1つ。さらに、カビや金属などの有害物質の摂取も、アルツハイマー型認知症のリスクを高めるという。

 

このような生活習慣により、脳のなかで増えすぎたアミロイドβを取り除くために考案されたのが「リコード法」だ。昨年12月の時点で500人以上の患者が実践し、効果が認められているという。そこで、白澤先生に教えてもらった今すぐ実践できる「リコード法」を紹介。

 

【1】炭水化物を極力減らす

【2】1日45mlのMCTオイル、または15ml×3のココナツオイルを取る

【3】夕食から朝食まで12時間以上絶食する

【4】睡眠は1日7〜8時間

【5】1週間で150分以上の運動をする

 

「肝臓が脂肪を分解してケトン体と呼ばれる物質を生み出すプロセスのことを“ケトーシス”と言います。そして、軽いケトーシス状態を維持することが認知機能を高めるのに最適の状態だとわかったのです。ケトーシス状態にするためには、低炭水化物食、適度な運動、1日に12時間以上の絶食、中鎖脂肪酸100%のMCTオイルなどの摂取が効果的で、これがリコード法のベースです」(白澤先生)

 

できることから、さっそくトライしてみよう!

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