『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』は、発行部数累計110万部超。この春公開された映画も200万人突破の大ヒットとなった。その“ビリギャル”のママ“ビリママ”ああちゃんこと、橘こころさん(51)。
いっぽう反抗期世代の女子高生の娘に、シングルマザーのKaoriさん(48)が、毎朝キャラ弁当を作り続けた3年間の軌跡と、愛情のこもった弁当を紹介した『今日も嫌がらせ弁当』も、14万部超のベストセラーに。
そんな、いまもっとも注目される“旬な母”2人が本誌で初めての出会いを果たし、思春期の娘を育てる秘訣を語り合った。
Kaori「離婚後すぐはそれまでの生活を崩さないようにと、朝9時からパートに出て夕方まで働き、仕事を2つ3つ掛け持ちして深夜まで働いて」
ああちゃん「私も夫婦不仲が続き、家庭内は冷え切って崩壊寸前でした。意地になった夫から、生活費をほとんどもらえず、パートをして3人の子育てを1人でした時期がありました」
Kaori「うちは上の娘と下の娘は5歳差なのですが、私が仕事の間は、夜も2人きりで留守番をしていました。しばらくして、上の娘が眠れなくなるなどのSOSが出たんです。それからは子どもといっしょにいる時間をなるべくつくるようにしたんです」
ああちゃん「私は、自分がダメ人間なので、子どもが学校から無事に帰ってきてくれるだけですごく立派に思え、うれしかった。それで子どもが何か話をしたいときには、逐一そのサインをキャッチできるよう、子どもの発言を全肯定するよう心がけて」
Kaori「3人もお子さんがいると時間が足りなかったのでは?」
ああちゃん「家事もしたいし、本当に体が3つぐらい欲しかった(笑)。それでも、一人ひとりの話をとことん聞くように気をつけていましたね。3番目の娘は体が弱く、学校も休みがちでしたので、パートの時間ギリギリまで娘の時間に合わせて話を聞きました」
Kaori「一人ひとりに時間を取ってあげていたんですか?」
ああちゃん「兄弟姉妹って、ライバル心もあったりしますよね。うちは真ん中が男の子で、姉妹に聞かれるのは恥ずかしいというので、みんないっしょはダメでしたね。すごく真剣なときは、1人1〜2時間かかりました」
子どもの気持ちを聞くことを最優先に考えたああちゃんに対して、Kaoriさんはまず、学校や社会のルールを丁寧に教えこんだという。
Kaori「娘たちには、なぜそれがあるのかを教えたうえで、あとは自分で考え、判断させるようにしました。下の娘が中学に入学早々、髪を編んでいたことを注意されたんです。学校から『直してほしい』と私に話がきましたが、『それは娘と話します。ただ、娘が納得すればですが』とお伝えしました。なぜかというと、同じ学校に赤い髪の子、短いスカートの子がいて、なぜ編み込みだけがいけないのかを娘が納得できるかどうかを考えたら、できないなと私自身が思ったからです。そこで、ただダメ出しするのではなく、とことん子どもと話をしました。ああちゃんと子どもの“守り方”が少し違うんですね」
ああちゃん「子どもは親の背中を見て育つといいますが、娘さんはKaoriさんの背中を見ていたと思いますよ」
Kaori「うちは笑いが絶えない一家ですが、おとなしくクールな次女が私に返事をしなかったりとか“かわいい反抗”を始めまして。それに対する私の“抵抗”として、『嫌がらせ弁当』を始めたんです。毎日のお弁当作りは大変なこともありましたが、それが娘とのコミュニケーションへと変わっていき、楽しかったんですね」
ああちゃん「子どもと共感することがいっしょでなければ、信頼も生まれにくいですよね」
Kaori「信頼がなければ、お弁当も捨てられていたかも(笑)」
ああちゃん「あのお弁当は捨てられないと思うけど(笑)」
Kaori「親と子の位置関係は大事で、友達みたいに共感できるときもあるけれど、やっぱり親という立場もちゃんとしたいなという思いはありました」
ああちゃん「親も万能ではないので、できることとできないことがありますよね。子どもがピンチのときには、アンテナがすぐにピッと働くということをKaoriさんはされていたんだと思います」
Kaori「やはり大人として何十年も生きているわけですから、子どもたちに何かあったときには自分が先に出て、矢面に立つという、母親は頼るべきところを持っているんだよという態度は示したいですね」