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えちごトキめき鉄道が運行する「えちごトキめきリゾート 雪月花」。新潟県の南西部、糸魚川駅から妙高高原駅までを走る列車で、昨年4月に運行を開始して以来、地元だけでなく、首都圏や外国人観光客の人気も集めている。観光列車で行く夏の絶景旅、本誌記者が体験してみた!

 

雪月花の運行は午前と午後の1日2便。記者が今回乗車したのは、午後の糸魚川駅発便、和食の食事付き「月コース」だ。糸魚川駅のホームに入ってすぐに目を引いたのは、真っ赤な雪月花の車両。赤(正確には銀朱色)のボディに金色の「雪月花」の文字がひときわ目立ち、ゴージャス!

 

車体に使われている素材は、すべて金属加工で有名な新潟県の燕三条地域で作られたもの。そのほか、車内の床に敷かれた安田瓦や、家具に使われている天然木に至るまで、すべて新潟産というこだわりぶりだ。

 

そんな“メードイン・新潟”の車両に一歩足を踏み入れた記者の第一印象は、「明るい!」。そう、窓のガラス面が天井ぎりぎりまで広く取られ、太陽の光が車内に降り注いでいるのだ。窓ガラスは紫外線透過率0.01%以下のUVカットなので、日焼けの心配もなく景色を楽しめる。女性にとっては、重要なポイントだ。

 

窓に面した席に着くと、すでにランチのお重が配膳されており、アテンダントからウエルカムドリンクとしてスパークリングワインが供される。新潟市のワイナリーが特別に提供しているもので、まだ一般には販売されていないそう。昼間から飲む貴重なお酒、とってもおいしいです!

 

13時55分、定刻どおりに列車は出発。糸魚川の街中を抜け、数分で窓の外に日本海が現れ、旅気分が一気に高まる。しばらく海の景色を楽しんだら、ランチのお重を開けて、お楽しみの食事の時間。

 

月コースの食事を監修・調理しているのは、糸魚川市で江戸時代から続く日本料理店「鶴来家」。残念なことに、昨年12月に発生した糸魚川市の大規模火災で店舗は全焼してしまったが、別の場所に調理場を作り、現在も雪月花に料理を提供し続けているという。

 

3段のお重にぎゅっと詰まったメニューは、「ベニズワイガニのちらし寿し」に、新潟の郷土料理「こくしょ」「うどぶきとわらびの旨煮」「黒バイ貝の吹き寄せ」など、新潟の食材を使った料理がズラリ。記者がとくに気に入ったのは、「鯛の山椒焼」。山椒の辛味が鯛の味にマッチした上品な味で、いくらでも食べられそう。車内のキッチンから運ばれた香り高い「いわしのつみれ汁」との相性も抜群で、お重3段をペロリと平らげてしまった。

 

やがて列車は海岸線を離れ、新潟の山間部へ。標高510メートルの「妙高高原駅」へ向け、ぐんぐん坂道を上っていく。その途中で、妙高山麓にある「二本木駅」に停車。車掌さんの案内で、明治44年の開業当時から使われているというレトロな木造舎内を見学する。こんなふうに途中駅を見学できるミニツアーもあって、3時間の道中を飽きることなく過ごせるのは◎。

 

二本木駅を出発すると、米どころ新潟の田園風景が一面に広がる。ここからは、より眺望のいい先頭車両のハイデッキに移動し、景色を満喫。青々とした水田の向こうに、日本百名山の1つ、標高2,454メートルの妙高山の姿が現れると、乗客からは歓声が上がる。記者も夢中でスマホカメラのシャッターを切り、絶景を写真に収める。

 

スキーリゾートで有名な「妙高高原駅」には10分ほど停車。駅前のおみやげ屋さんで買い物をしたら、車内に戻って、デザートタイム。本日のデザートは「さるなしの寒天」「甘酒」「麩まんじゅう」、そして「雪室珈琲」。雪室珈琲とは、新潟の名物コーヒーで、雪室に貯蔵することでうま味の増した豆を使ったもの。

 

16時47分、終着の上越妙高駅に到着。下車の前に、おみやげに新潟産のコシヒカリと沿線の洋菓子店のカステラをいただき、3時間の列車の旅は大満足で終了した。絶景を眺めながら、地元で育まれた食材を味わえるのは、観光列車ならではの醍醐味。今年の夏は列車に乗って、目と舌で新潟の美しい海と山を楽しんでみては?

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