国立天文台の観測結果で浮上「ミニ氷河期到来の仰天シナリオ」
国立天文台と理化学研究所などのチームは、4月19日、太陽の磁場について、これまでとは違った現象が観測されたと発表した。これは、太陽の活動が低下した「マウンダー極小期」(太陽の黒点が減少した時期)に似た状態で、このことが地球に「ミニ氷河期」をもたらす可能性が大きいという。もし現代に氷河期が訪れたらどうなるのか? 恐るべきシナリオを専門家に聞いた。
【シナリオ1 箱根の山は八甲田山になる】「梅雨が8月の中旬にずれ込んで、9月の長雨が1カ月、前倒しになります。すると、雨が連続するわけですね。台風も早めにくるでしょう。現在の青森のような気候が、関東地方の箱根あたりまでくるでしょう」(理化学研究所・戎崎俊一博士)
【シナリオ2 食糧危機】「10年後、食糧危機になる可能性は十分あります。現在、地球の人口は70億人を超えていますが、さらに寒い時代が続けば、それだけの人口を養う食料はなくなるでしょう。そうなれば、食料自給率が4割を切る日本など、お手上げ。国民の半分くらいが飢えるのではないでしょうか」(元NASAの上級研究員・桜井邦朋博士)
【シナリオ3 世界戦争】「世界中が食糧危機になれば、内需主体になる。そうなれば、輸出産業は全部つぶれてしまいます。こうした経済危機が、世界的な戦争を誘発する可能性があります。第二次世界大戦は世界恐慌から始まりました。第一次世界大戦ですら、ヨーロッパが食料危機になって勃発したという説もあります」(前出・桜井博士)
【シナリオ4 伝染病の蔓延】かつてのミニ氷河期には、ペストが大流行した。また、毎年のように報告される新型インフルエンザなどのウィルスが、猛威を振るう可能性も。前回のマウンダー極小期には、世界の人口の約3割が減ったという。前出の桜井博士は「70億人の3分の1くらいは低所得者といわれていますから、最低でも20億人近くが、飢えと病気で亡くなるのではないかと危惧しています」と警鐘を鳴らす。
【シナリオ5 富士山大噴火】「ある種の火山は、太陽の活動が弱い時期に活発化します」と指摘するのは、前出の戎崎博士。「ある種の火山」とは、マグマの中にケイ酸と呼ばれる物質が多く含まれている火山。その火山の代表格が富士山だという。1707年に発生した「宝永の噴火」と呼ばれる富士山の大噴火は、まさにマウンダー極小期の真っただ中に起こった。このときは「江戸では火山灰が2センチ以上も積り、多数の住民が呼吸器疾患に悩まされました」(戎崎博士)という。