ストレスがたまる毎日……。そんなときの“最高の現実逃避”として、いま『時代小説』がブームだ。しかし、「時代小説を読んでみたいけど、どれを手に取ったらいいのか…」という人も多いはず。そこで、時代小説をこよなく愛する『ペリー荻野とチョンマゲ愛好会女子部』が、女性におすすめの泣ける3作品を教えてくれた。
両親が好きだったため、子供時代から時代小説に触れて育ったという、『チョンマゲ愛好会女子部』のカスミさんがおすすめするのは、宮部みゆきの『孤宿の人』。
「誰にも泣く”スイッチ”みたいなものがあると思うけど、私の場合、そのスイッチを押すのは『孤宿の人』。幕府の要人だった男が島流しにあうんだけど、その土地に身のまわりを世話してくれる女のコがいて、大好きになっちゃう。罪人と無垢な女のコの心が触れ合う感じが、もう……」
時代劇の原作本を読みはじめたのをきっかけに時代小説にハマった、コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんは次のように語る。
「私が号泣した作品は、池波正太郎の『乳房』。主人公の女性は苦難の末、罪を犯してしまい、自分は幸せになってはいけないってずっと思いこんでいて……。婦人科検診の待合室で読んでいたんだけど、あまりの号泣ぶりに、まわりは『あの人、どんな病気なんだろう』って思ったはず」
また、時代小説に登場する孤高のヒーローに心奪われるというペリーさんは『男の美学』という観点から、もう1作品を挙げる。
「伊東潤さんの短編集『城を噛ませた男』のなかで、すごく泣けたのがあった。『鯨のくる城』っていう話。負け戦で圧倒的不利ななか、ダメな感じの男たちがちょっとだけ結束して、自分を犠牲にしてみんなを守るの。大事な人を守ろうとする気持ちが泣けちゃう」