ネコの抜け毛で作る手芸「猫毛フェルト」が話題となっている。その考案者である蔦谷香理さんは、「ネコをブラッシングすると、あまりに毛が抜けるんです。それで『何かに使えないかな?』と思いました」と話す。

 

思いついた’06年当時は「羊毛フェルト」が大ブームだった。そこで、ネコの毛で同じように作品を作ることを考えたという。’09年には、初の猫毛フェルトの手芸書『猫毛フェルトの本』(飛鳥新社)を刊行した。蔦谷さんに「猫毛フェルト」の作り方のポイントを教えてもらった。

 

「春から夏の時期は、1年でもっとも毛が抜けるので、集めるには絶好の時期。1匹でなく、何匹かの毛を使ってもOKです。白地に茶色の毛をうまく交ぜれば、ブチ模様を作ることもできます」

 

集めた抜け毛は、クッキーやのりの空き缶などに保管。虫がつくこともあるので、防腐剤を入れておく。フェルト状にする途中で、せっけん水で洗うので、外飼いのネコだからといって、毛を洗わなくても大丈夫。毛が両手にこんもり1杯ほど集まれば、指人形ほどのものが作れる。

 

毛をフェルト状にするには、牛乳パックなどの型紙を用意し、その型紙よりひとまわり大きいシート状にネコ毛を広げる。ネコの毛で型紙を包み、それを、適当な大きさに切った水切り用のポリ袋で包む。ぬるま湯に粉せっけんを溶き、袋の空気を押し出すようにして、せっけん水を染みこませる。

 

せっけん水から出し、ポリ袋の上から表面を摩擦。両手でゴシゴシと強めに、素早くこする。ある程度こすったら、一度、袋を開け、包み直して、さらにこする。袋から取り出し、真水につけ、静かに揺らしながらすすぐ。せっけんが落ちたらサラダスピナーに入れて、水をよく切る。

 

当て布(手ぬぐいなど)をしてアイロンを当て、フェルトを圧縮し、乾かす。完全に乾かすと、型紙の牛乳パックが溶けてしまうので、生乾きくらいの状態でOK。フェルトの下を型紙ごと切って、そっと型紙を引き出す。

 

「ネコの毛の質は、毛並みの表面と内側でまったく違います。『下毛』と呼ばれる内側のフワフワした毛は、フェルトに向いていますが、『上毛』と呼ばれる表面の毛は、硬くて真っすぐなので、フェルトには向きません。最初により分けるのは難しいんですが、仕上げのとき、硬い毛だけ飛び出してくるんです。それをカットしたり、つまんだりしましょう」

 

猫毛フェルトを使って手芸し、作品が完成したら「うちのニャンコに見せてあげたい」と考えるかもしれないが、ご注意を。自分の毛だったにもかかわらず、匂いに興奮して、かみついたり、引っかいたりするネコも少なくないのだ。大事に飾りたいなら、ネコの手の届かないところへ。

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