“万が一”が起こったら……。そう考えて保険に入っている人は多いだろう。しかし、自分がどんな保障を受けられるか把握できているだろうか。その“無知”で、夫の死後、痛い目を見るかもしれない――。

 

「世帯主の夫に何かあった場合、普通死亡保険として、妻が受け取る金額の平均は、1,509万4,000円。夫が50代前半の場合、受け取れる保険金は約2,000万円です。けれども、世帯年収別で見てみると、年収200万円未満の人は、払える保険料にも限界があるため696万1,000円と平均値の半分以下。いっぽう、1,000万円以上の世帯は約2,850万円。夫の没後、受け取れる保険金に2,000万円以上の“格差”があるんです」

 

そう指摘するのは、ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん。多くの家計相談にのるなか、生命保険に関しては、「勧められるままに保険に加入して、夫や自分の病気やケガ、死亡時にどんな保障を受けられるかわからない人も多い」という。

 

3年に1度調査が行われる「生命保険に関する全国実態調査(平成27年度/3年に1度調査)」(生活保険文化センター調べ)によると、生命保険に加入している人は、年間38万5,400円の保険料を払っている。

 

毎月高額の保険料を払っているにもかかわらず、同調査で7割の保険加入者が“将来に漠然とした不安を抱えている”と回答した。では、夫の没後、安心して暮らすには、どれだけの保障が必要なのだろうか。

 

「家が持ち家か賃貸か、妻は働いているか否か、また夫が会社員か自営業かによって、受け取れる遺族年金も異なるため一概に言えませんが、子どもの教育費がかかる場合などは、夫の没後3,000万円は欲しいところですね」(飯村さん・以下同)

 

払う保険料は高いのに、もらえる保険金は少ない、そんな現状を打破するために、飯村さんに「正しい死亡保険の入り方」のステップを教えてもらった。

 

【ステップ1】保険料と内容を具体的に確認

 

「生命保険の中でも、医療、介護、死亡などに対し、それぞれにいくら払い、どんな保障がついているのかを確認しましょう。医療保険で入院時に1日1万円が出る保障をかけているなら、保険料を減らして浮いた分を貯蓄にまわすのも手です。医療、介護、死亡が1つになったパッケージ型よりは、医療は医療、死亡は死亡と、分けて入ることをおすすめします」

 

【ステップ2】実際、夫の没後にいくら必要になるかを計算!

 

「最初に必要になる葬儀費用が約250万円といわれています。教育資金や、妻の収入によって没後の経済状況は人それぞれですが、いちばん差がつくのは『住宅費』。持ち家か、賃貸か、社宅を出なければいけなくなるか、これによって必要となる保障額は大きく変わりますよ」

 

持ち家でローンを返済中なら、購入時に、「団体信用生命保険」に入っているかを確認しよう。

 

「ここに加入していれば世帯主が万が一のときも、ローンの返済をしなくていいんです。特に『フラット35』で返済している人は、この保険に入っているかどうかを確認しておきましょう」

 

社宅を出なければいけなくなった場合、新たに住まいを探すところからリスタート――。家賃が毎月10万円のアパートに引っ越したとすると、「団信」に入っている人と比べて没後に必要なお金は年間120万円増の“格差”が生まれてしまう。

 

「家族の状況によって、必要な額を計算してみてください。子どもの教育費は1人、1,200万円を用意しておくと安心です。そして生活費。夫の没後は、それまでの生活費の約7割×12カ月で1年間の生活費が計算できます。子どもがいない、あるいはすでに独り立ちしている場合は、5割×平均寿命と自分の年齢差で必要額を計算しましょう」

 

【ステップ3】没後に「入ってくるお金」もチェック

 

「18歳未満の子どもがいて、夫が会社員なら『遺族基礎年金+遺族厚生年金』が受け取れます。福利厚生が手厚い会社なら、さらに会社独自の保障が出る場合もあるので、調べてみましょう。自営業の人は、遺族厚生年金は受け取れませんので、その分をまかなう預貯金や保障が必要です」