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「先月29日、国民年金の納付率が発表されました。昨年度は66.3%となり、6年連続で改善されています(厚生労働省)。とはいえ、’90年代前半の納付率、約85%と比べると、まだ20%ほど低い状態です。また、納付率の算出には年金保険料の免除・猶予者は含まれていません。すべての加入者で計算した実質納付率は約40%なのです」

 

こう話すのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。そこで国は、納付率を上げるため、未納者への取り立てを、年々強化している。

 

「昨年度は、財産の差押さえなどの強制徴取を、年間所得が350万円以上なら未納7カ月以上で、300万~350万円なら未納13カ月以上でと、段階的に行っていました。しかし今年度は、年間所得300万円以上で未納が7カ月続くと、強制徴取されます」

 

国民年金の保険料は一律で、月1万6,340円(’18年)。荻原さんは、払えない人に免除や猶予の申請を勧める。

 

「年金には、老後にもらえる『老齢年金』のほか、障害を負った場合の『障害年金』や、本人が亡くなった後、幼い子がいる家族に支給される『遺族年金』という側面もあります。免除・猶予者も、万が一の際は保障が受けられます。そのうえ、たとえ年金加入の全期間免除を受け、保険料をまったく払わなくても、老齢年金の半額は受け取れます。何も届け出ずに、無年金となることだけは避けたいものです」

 

国民年金の老齢年金は、満額でも月6万4,941円(’18年度)。老後の生活費には足りないため、国や金融機関は「確定拠出年金」などを利用して、年金を自分で増やすことを勧めている。

 

「ただ、注意してほしいのは、確定拠出年金が60歳までは引き出せないこと。特に自営業者は、事業が危ないときに運転資金に回せるような、自由度の高い蓄えが欲しいのではないでしょうか。そんな自営業の方には『小規模企業共済』がよいと思います。月の掛金は1,000円から7万円までで、確定拠出年金などと同様、税金の控除があり節税できます」

 

小規模企業共済の目的は、自営業者の退職金を自分で作ることなので、年齢にかかわらず廃業したときに、一括でも分割でも受け取ることができる。

 

「予定利率は1%。たとえば月1万円を15年(180カ月)間だと、掛金は180万円ですが、廃業時には約201万円受け取れます。自分で運用する手間もなく、さらに、融資制度もあり、解約も可能です。国民年金の方は早めの対策で、賢く老後資金を作りましょう」

経済ジャーナリスト

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