「食費や光熱費、通信費、娯楽費などの支出は、一生涯にわたります。月々の出費がそれほど多くなくても、累計にすれば高額になります。日々のコツコツした積み重ねが大事なんです」
そう話すのはファイナンシャルプランナーで「生活マネー相談室」代表の八ツ井慶子さん。わが家のムダ遣いを知るには、“お隣の家計簿”と比べるのがいちばん。そこで役立つのが、約8千世帯から集めた世代別の最新’17年の「家計調査」。これは2人以上の家庭で、世帯主の年齢別に家計の支出を総務省がまとめたものだ。
これを見てみると、50代の現役世代に「水道・光熱費」「通信費」でのムダ遣いが。八ツ井さんが解説してくれた。
「50代になると持ち家比率も高く、断熱性の低い戸建てであれば、光熱費が増加しやすい。クーラーや冷蔵庫などを節電効果の高い家電に替えるだけでもかなりの効果が期待できます。また、高校生や大学生の子どもが多い50代の通信費は、格安スマホに乗り換えたり、プラン変更など支出カットの余地がありそう」(八ツ井さん・以下同)
45〜54歳までの世代は、学費、塾の月謝などの教育費が一気に増えるが、これは削りにくい支出かもしれない。
「教育費や娯楽費」では子育て世代の45〜49歳がもっとも多い(3万5,412円/支出に占める割合10.5%)が、60〜69歳でも支出の1割(60〜64歳=3万1,966円/支出に占める割合10.3%、65〜69歳=2万7,537円/支出に占める割合10.0%)を占める。
「子の独立やリタイアなどで自由な時間が生まれることから、旅行やジムの会費などへの支出が増えているようです。しかし、年を重ねるごとに、冠婚葬祭で使うお金を含む「交際費」の割合がどんどん増え、70代では1割を超えてしまいます(2万5,264円/支出に占める割合10.8%)。娯楽を無理に削る必要はありませんが、満足感が低いとしたら、お金がもったいないです。リタイア後の長い人生を考え、本当にやりたいことに絞りましょう」