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27声は、その人のイメージを左右する。しかも、出し方次第で若返ることも可能なのだという。これまで、あまり意識されることのなかった「いい声」の作り方とは――。

 

「最近、“声”を出す機会がめっきり減っています。以前は電話や井戸端会議で話をしていたのに、最近はメールだけで用件を伝える人も多くなりました。でも、声はコミュニケーションの大事なツールです。みなさん、無意識に声をコントロールしているのですが、少し高めの声を出すと若めに見られたり、イメージが変わるんですね。声の出し方を意識することで人間関係が円滑に運び、見た目の美しさにもつながります」

 

そう語るのは『人生は「声」で決まる』(朝日新書)を出版した、劇作家・演出家の竹内一郎さんだ。竹内さんは、ベストセラーとなった『人は見た目が9割』(新潮新書)などでファッションやヘアスタイルなど「非言語情報」の重要性を提唱してきた。

 

「メールのような平坦な文字によるコミュニケーションでは、感情は伝わりにくい。しかし、同じ言葉でも声に出し、抑揚を付けたり、ふくよかなしゃべり方をするだけでとげとげしさが薄れ、相手の心に届きやすくなる。声は好印象を与える手助けにもなるのです」(竹内さん・以下同)

 

とはいうものの、自分の声が好きになれないという人も多いはず。

 

「音楽・音声ジャーナリストの山崎広子さんの調査によると、日本人の8割が“自分の声が嫌い”だと考えているそうです。しかし、声は持って生まれたものだし、そもそもいい声、悪い声はなく、すべて個性なんです」

 

実際に人と会話をするときに緊張してしまう人は、こんな“おまじない”が効果的だという。

 

「みぞおちに力が入っていると、声が変にうわずってしまうことも。指でマッサージして、緊張をほぐしましょう」

 

みぞおちマッサージのやり方は、両手の中指(人さし指を加えてもいい)を使い、指圧のような感じで、クイックイッと押してやると、ほぐれていく。

 

呼吸法でも声の通りをよくすることができるそう。

 

「鼻から吸って、口から吐くのが基本です。俳優がしているように、腹式呼吸がおすすめです」

 

腹式呼吸は、あおむけになると練習しやすいという。

 

「あおむけに寝て、おへその10センチほど下にある丹田に両手のひらを置いて、ゆっくり鼻から息を吸って、おなかの上の手を上方に押し上げる。口から息を吐くときは、おなかをへこませるように手を下方に。息を吸ったり吐いたりするごとに、おなかの上の手が上下するのを確認する」

 

満員電車での移動中、スマホを見ずに遠くの車窓を見ながら、腹式呼吸をすることもすすめる。

 

「腹筋や背筋が鍛えられます。姿勢がよくなりスマホネックの改善が見込まれます。さらに上半身がリラックスするので、表情も柔らかくなります」

 

呼吸のテンポは、齋藤孝氏が『呼吸入門』で提唱しているように「3秒吸って、2秒止めて、15秒吐く」という方法に賛同しているが……。

 

「あくまでも日々の生活でのものなので、厳密なものではなくゆっくり吐くことを意識するだけで十分です」

 

これらの呼吸法に加えて、滑舌よく話すことも意識したほうがいいという。

 

「定年退職をした男性が一気に老け込むのは、声を出す機会が少なくなり、口輪筋(口のまわりの筋肉)が衰えることが一因だと考えています。つまり、滑舌よく話して口輪筋を鍛えれば、アンチエイジング効果があるんです」

 

このように若々しい声を出すことを意識すれば、「10歳若返ることも可能」だと語る竹内さん。最後に自分の声に自信を持てる音読法を教えてくれた。まず練習したいのは600語ほどの新聞のコラム(朝日新聞の「天声人語」など)を2分で音読し、録音すること。

 

「時間に気を取られて平坦な音読になると、録音された音声を聞き返しても内容が頭に入ってきません。内容をしっかり伝えられるようにするためには、間を作ったり、抑揚を付ける工夫が必要。仕事の面接の前などにやってみたら効果抜群でしょう。上手な話し方ができれば、自分の声が大好きになり、より相手に伝えやすい話し方もできるようになります」

 

「声」の出し方を意識すればコミュニケーション力が高まり、見た目の美しさも手に入れられる。仕事や日常の生活にも、役に立ちそうだ。

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