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「急死した親が残した家具があまりにも多くて困りました。最終的に、業者に頼んだら遺品整理に100万円近くかかって。“使わないもの”は、もうちょっと断捨離しておいてほしかった」(35・主婦)

 

「父が死んで、残された認知症の母は待ったなしで介護付き高齢者施設に入居しなければなりません。でも、父の財産をまったく把握していなかった。それですぐには資産計画が立たず、入居先の候補すら挙げられなくて」(45・会社員)

 

夫や自分の死後、子どもたちを不幸にするような金銭的な負担、仕事も手に付かなくなるほどの苦労をかけたくないという人は多い。行政書士で葬祭カウンセラーの勝桂子さんも「50歳を過ぎれば死後の準備を始めるべき」と語る。

 

「『終活なんてまだ早い、お金もかかるし面倒くさい』と思っている人もいるかもしれませんが、複雑に考えることはありません。できることから少しずつ始めましょう。それが誰にも迷惑をかけない“スマート老後”の第一歩となるのです」(勝さん)

 

そこで事前にやるべきことを、勝さん、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん、介護施設のコンサルタント業を請け負うスターパートナーズの齋藤直路さんに聞いた。

 

■「住宅」自宅売却か賃貸に出して介護施設に入る費用を

 

配偶者が亡くなったとき、介護施設に入居するとき、思い出のつまった実家をどうするのか道筋を立てるのも、いま住んでいる親の仕事だろう。不動産を手放すとなると、売却価格の3%ほどの仲介手数料と、譲渡所得税がかかる可能性も出てくる。

 

「50代以上の女性の場合、自宅が夫1人の名義になっているケースが多いと思いますが、結婚20年以上の夫婦間であれば、約2,000万円まで、マイホームに関する贈与が非課税で行える制度(おしどり控除)があります。そこで、あらかじめ妻に2,000万円分の持ち分を移転しておけば、売却する際、譲渡所得税の特別控除が2人分受けられ、都内の一戸建てであれば、300万~500万円も節税できるケースがあるのです」(勝さん)

 

自宅が好立地なら、賃貸物件として貸したほうが得である場合も。

 

「敬遠されがちな高齢者への貸し出しを行うことで、都内のある自治体では、最大で月額2万円を補助してくれます」(風呂内さん)

 

売るにしても、貸すにしても、査定の情報をまとめておけば、子どもたちにあまり迷惑をかけず、終の住処である高齢者施設入居への算段がつく。

 

「まさに一生モノを買う決断です。候補施設を最低3つは挙げておき、体験入居や情報収集し、資金計画など含め、自分の考えを家族に伝えておきましょう」(齋藤さん)

 

一般的な介護付き有料老人ホームの場合、月額使用料には入居費・管理費・食費が含まれる。

 

「さらに介護費用月額3万5,000円(自己負担1割・要介護5の場合)、医療費が月額2万5,000円、携帯電話代やレクリエーション代として1万~2万円などがかかります。毎月の年金受給額、毎月使える貯蓄を計算して、入居可能な施設を選ばなければなりません」

 

ただ、現在は寿命が延びているため、資金が底を突いてしまったり、入居途中で退去を求められるケースもあるともいわれる。そのような事態となれば、子どもへの負担も大きい。余裕を持った資金計画が必要だ。

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