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《厚生年金、加入期間70歳以上も受給年齢見直しに合わせ》

 

4月21日、共同通信が報じたニュースが、波紋を広げている。経済ジャーナリストはこう語る。

 

「現在、5年に1度の財政検証が行われており、厚生労働省は年金加入期間の延長も視野に入れています。年金は、受給開始を1カ月遅らせるごとに、受け取れる年金額が0.7%ずつ増額される仕組みです。現在、繰り下げの限度は70歳までですが、今後は70歳以降も可能にする見込みです」

 

年金博士こと、北村庄吾さんは、自分自身の年金状況を知ることがもっともお得に年金をもらうための第一歩だという。

 

「たとえば、主婦で、夫が会社員の方は、負担なしで基礎年金が積み立てられている第3号被保険者にあたります。しかし、制度が始まった’86年4月以降に専業主婦になった人は、3号に切り替わっておらず、未納状態になっていることがあります。’02年まで、役所で本人が手続きをする必要があったためで、切り替えを忘れている方が相当数いるとみられており、確認が必要です」

 

切り替えが行われていなくても、「第3号被保険者関係届」を出せば、過去に遡って第3号被保険者だったと扱われることになる。

 

「まず『ねんきん定期便』を確認するなどして、自分の状態を正しく知りましょう。50歳以上は、もらえる年金の見込み額も通知されます。これらの情報を基に、もっとも得する年金のもらい方を考えてください」(北村さん・以下同)

 

少子高齢化に対応するために次々と改定が行われる年金制度。令和時代には、どのように制度を活用するのが、もっとも得なのか――。北村さんがもっとも得する“年金受給術”を教えてくれた。

 

【受給術1】会社と交渉して年金減額を防ぐ

 

働きながら、年金を受給すると、受給額が減額される制度がある。

 

「会社員としての月収と前年のボーナスの12分の1も加えた額と、1カ月分の年金受給額の合計が一定額を超えると、超過分の半額が年金から差し引かれます」

 

60~64歳は28万円、65歳以上は47万円が基準額となる。

 

「ただし、これは自営業者には関係ありません。超えそうな場合、業務委託契約に切り替えてもらうか、月々の給与を減らして、退職金に回してもらうなどの交渉を会社とすることが考えられます」

 

【受給術2】退職金は一時金が正解

 

「かつて大手企業などでは、年利5%だったため、年金型のように分割して退職金をもらう人が多くいました。しかし低金利の現在は1%以下で、運用益がほとんど期待できません。さらに分割でもらうと、収入に計上され、税金や社会保険料が増えてしまいます」

 

退職金には一定額内では税金がかからなくなる控除が認められている。

 

「40年間働いた場合、退職金が2,200万円までは非課税になります。よほどの大企業でない限り、一時金で受け取るのが無難です」

 

【受給術3】非課税ラインに受給額を抑える

 

年間の収入額が一定額以下なら、所得税も住民税も非課税になる。さらに、医療費や介護費の自己負担率が半減するほか、入院した際の病院食の負担金が軽減されるなどの制度もある。“非課税ライン”は、東京23区や大阪市などの大都市なら211万円、各県庁所在地などなら201万9,000円、そのほかの地方でなら192万8,000円だ。

 

あえて年金を繰り上げ受給して(1カ月早めるごとに、0.5%ずつ減額)、受給額を非課税ラインに抑えるように勧める人もいるが。

 

「211万円は、月額にすると18万円弱。さらに、旅行に行きたい、趣味も楽しみたいなら、生活費は月に35万円ほど必要です。少しでも年金額を増やすように努力するのが王道。非課税ラインを意識するのは、自分の受給額の予想がこの前後で、受給額を大きく増やす方法がない場合でしょう」

 

働き方も、貯蓄額も千差万別。年金ルールを上手に活用して、豊かな老後を送ろう。

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