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「老後に2,000万円不足」問題が連日取りざたされ、金融庁には「最大3,000万円必要」という試算まであったと物議をかもしている。しかし、経済ジャーナリストの荻原博子さんは、「私は工夫次第で、年金だけでも暮らせると思います」と語る。荻原さんが解説してくれた――。

 

■高齢夫婦と30代世帯の支出はよく似ている。家計はまだまだ工夫の余地あり

 

2,000万円の根拠となった’17年の家計調査には、おもしろいデータがあります。世帯主年代別の家計収支を見ると、30代世帯(2人以上の勤労世帯)と、問題の65歳以上の夫と60歳以上の妻の高齢夫婦がよく似ているのです。

 

まず、月々の生活費に当たる「消費支出」の中身を見ると、「食費」は30代世帯が約6.5万円で、高齢夫婦が約6.4万円。「光熱水費」は30代世帯が約1.8万円で、高齢夫婦は約1.9万円と、ほぼ同じです。

 

次に、消費支出全体を見ても、30代世帯が約26万円で高齢夫婦が約23.5万円。約2.5万円違うものの、30代世帯には高齢夫婦にはない「教育費」が約1.3万円あります。これを除くと30代世帯が24.7万円で、高齢夫婦は23.5万円。

 

その差は1.2万円ありますが、実は、世帯人数が大きく違います。30代世帯は平均3.71人家族で、高齢夫婦は2人。つまり30代世帯は2倍近い家族の生活を、ほぼ同じ支出でやりくりしているのです。

 

とすると、高齢夫婦の家計はまだまだ工夫の余地があり、生活費は抑えられると思いませんか。あらゆる角度から家計を点検し消費支出を減らせば、年金+2,000万円も要らないでしょう。

経済ジャーナリスト

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