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「旅先で車のバッテリーが上がり、エンジンがかからなくなって、せっかくの旅行が台無しに……」

 

「車庫入れで失敗。コンクリート塀の角にタイヤを当てて、パンクさせてしまった!」

 

車には予期せぬ故障やトラブルはつきもの。そこで頼りになるのが、ロードサービスだ。代表格のJAF(日本自動車連盟)は’63年に誕生した組織。だが、「天下り団体と見て間違いない」と指摘するのは、警察に詳しいジャーナリストの寺澤有さん。

 

「56年の歴史の中で通算33年もの間、警察庁長官や警視総監など警察官僚のトップだった人が、会長を務めています。役職者の中にはロードサービスとは無縁と思われる、公安畑出身の元警察官僚もいる。交通課出身で、その知見を生かすというのであれば、まだ理解できるのですが……」

 

発足当時から右肩上がりに会員数を増やし続けるJAF。現在では約1,950万人(’18年度データ)の超巨大組織に成長した背景を、車とカー用品の研究室「LaBoon!!」を運営する鈴木朝臣さんに解説してもらうと――。

 

「免許を持っている人の4人に1人、車を所有する世帯の半分程度が加入している計算になるのですが、これは昔から“ロードサービス=JAF”というネームバリューがあるためでしょう。シニア世代にとっては、“マイカー”を購入してJAFのステッカーを貼るのが、ある種のステータスでした。また、JAFの自動車販売店への影響も大きく、新たに車を購入したときに『1年間、無料で加入できます』と勧誘されることも。そのまま惰性で何年も入り続けている人も多いと思います」

 

だが、JAFへの加入を懐疑的に見る専門家も少なくない。

 

「入会金2,000円で、年会費は4,000円ですが、この料金に見合うサービスが受けられるかというと、疑問です」(鈴木さん)

 

ウェブサイト「自動車保険見直しガイド」を運営する森光章さんも同意見だ。その大きな理由として挙げるのが、多くの保険会社の自動車保険にはロードサービスが無料で付帯されている点。

 

「任意とはいえ、車を所有していれば、ほとんどの人が自動車保険に加入しているはず。受けられるロードサービスが重複するので、JAFの入会金や年会費は無駄な出費になってしまうのです」

 

たとえば車が立ち往生してレッカー車を必要とするケースの、けん引無料距離はJAFが15キロまで。

 

「それに対し、某保険会社では100キロ以内の指定工場まで無料でカバーしています。しかも、修理後の車の運送費用や、レンタカー代、夜遅くて帰宅が困難になった場合の、宿泊施設の利用料もカバーされます。なかには、修理した車を無料で自宅まで搬送する、手厚いサービスの保険会社もあります」

 

こうした声に、JAFは次のような回答を本誌に寄せた。まず“天下り団体”との指摘に関しては《(略)弊連盟の理事は、ロードサービス以外にも多岐にわたるJAFの事業を推進するうえで、道路・交通行政や自動車税制、自動車関連サービス業をはじめ各分野で幅広い知見を有する人物が定款にもとづき、社員総会にて選出されています》。

 

また、自動車保険付帯のロードサービスとの差別化については、保険会社ではカバーしていない雪道や砂丘でのスタックが対象となるとし、《交通安全活動やメディアへの有益な情報の提供等、公益的な活動につきましても積極的に推進してまいります》と答えた。

 

「会員であれば使える、全国のレストランや動物園、博物館などの割引クーポンは、かなり多くの店舗や施設で利用できるため、ドライブ旅行の多い人が本腰を入れて使いこなせば、十分、元を取ることはできるでしょう」(鈴木さん)

 

それぞれのカーライフによって、4,000円の年会費に見合うサービスを受けられるかが変わってくるJAF。すでに加入している人は、自分の自動車保険に付帯しているロードサービスと、さっそく見比べてみよう。

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