崩れた“不動産神話”「特定空家」指定は最悪のシナリオに

かつて高い資産価値を誇っていたはずの不動産も、近年では少子化による「家余り」で売るに売れない「負動産」になるケースが増えているという。「不動産」ならぬ「負動産」とはなんだろう。

 

「一般的に負動産とは、『持っているだけで資産的にマイナスになる不動産』のことを指します。もっともイメージしやすいのは、地方にある戸建ての空き家でしょうか。もともと住んでいた親は亡くなったものの、売却もできず子どもが固定資産税を払い続けているような状態は、負動産の典型例です。また、それに限らず『いまよりも価値が下がっていく不動産』も、大きな枠で負動産に該当すると私は考えています」

 

そう語るのは、負動産問題の専門家で、相続・不動産コンサルタントの藤戸康雄さん。すでに国内にある「所有者不明」の土地は九州の面積を超す広さに達しているが、藤戸さんは「今後はさらに、マンションも含めた負動産が大幅に増加していくでしょう」と警鐘を鳴らす。

 

「すでに都心でも、木が鬱蒼と生い茂った空き家を目にするようになりました。相続争いなどの問題もあるのでしょうが、もし所有者や相続人たちが『場所がいいから、売ろうと思えば高く売れる』と思っているのなら大間違いです。需要自体が減っているなか、不動産業者もいつ空き家状況が解消するかわからない物件より、いま売りに出ている土地や家を優先して扱います。都心でさえすでに『その気になればいつでも売れる』などという時代ではなくなっているのです」

 

地方となればなおさらだ。

 

もはや、不動産はプラスの資産になるどころか、売ることも貸すこともできず、固定資産税などのお金だけがかかっていく「負動産」になりうる時代。かといって、そのまま放置しておけば、さらに最悪のシナリオが待っている。それは「特定空家」に指定されること!

 

「’15年5月26日に、『空家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策特別措置法)』が全面施行されました。これはずばり、増え続ける日本の空き家をなんとかするべく、国土交通省の肝いりでつくられた法律です。この空家対策特別措置法に定められた『特定空家』に指定されると、最大で、固定資産税が更地の6分の1となる優遇措置の対象から外れるほか、市町村長から建物の除却や修繕、周辺環境のために必要な措置をとるよう(1)助言または指導、(2)勧告、(3)命令、と段階的に措置がとられます」

 

最後の措置である命令に従わないときは、50万円以下の罰金刑が下される。

 

「さらに、家屋倒壊の危険が大きいときは『行政代執行』といって強制的に家屋の取壊し除去が行われますが、そこにかかる費用はすべて所有者に請求されます。払わなければ、給与や財産を差し押さえて回収されることになるので、注意が必要です」

 

特定空家に指定されるのは、次の4つの要件を満たしたとき。

 

【1】そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態。
【2】そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態。
【3】適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態。
【4】その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態。

 

もはや、実家の「負動産」対策は待ったなし! まずは「不動産神話は完全に終わった」ことを、心に強く刻んでおこう。

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