「貯蓄から投資へ」新NISAに潜む落とし穴を荻原博子が警鐘

与党が’19年末にまとめた税制改正大綱に、NISAの改革が盛り込まれた。NISAとは’14年に始まった小額投資非課税制度のこと。投資で得た利益にかかる約20%の税金が、NISAならかからない。こうしたNISAには、おもに2つの枠組みがある。

 

1つ目は’14年当初からある「一般NISA」。株式や投資信託などに年120万円まで投資できて、5年間は非課税。投資できるのは’23年までの予定だったが、’28年まで延長するようだ。

 

2つ目は’18年に始まった「つみたてNISA」。金融庁が長期運用に向いていると限定した投資信託に、年40万円まで積立投資したとき、20年間、非課税になる。これも’37年の終了予定を’42年まで延長するようだ。

 

今回の改革は制度の延長だけでなく、’24年以降は一般NISAが「新NISA」に移行すると記された。新NISAとは、どんなものなのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。

 

■「貯蓄から投資へ」と私たちを誘導する“2階建て”新NISAの落とし穴

 

新NISAは、2階建て構造が大きな特徴です。1階部分は、つみたてNISAを踏襲した年20万円までの積立投資枠です。投資対象はつみたてNISAとほぼ同じで、低リスクの投資信託といわれます。

 

2階部分は一般NISAを引き継いだ形で、個別の株式にも年102万円まで投資できます。新NISAは原則として、1階の積立投資をした人が、2階で投資できるようになります。投資額は合わせて年122万円。5年間は非課税です。

 

NISAは従来わかりづらいといわれましたが、新NISAは今まで以上に複雑で、仕組みを理解するのが大変です。実際に投資する意欲がうせてしまうのでは。

 

また、1階の積立投資は低リスクといわれますが、積立預金とは違い、リスクがないわけではありません。それどころか、対象商品には値動きが激しくなる恐れのある新興国への投資信託も含まれています。「金融庁のお墨付き」などと宣伝する金融機関もありますが、決して「何を選んでも安心」ではありません。自分でリスクを理解することが大切です。

 

さらに今、一般NISAとつみたてNISAがすでにあり、利用者はどちらかを選んでいます。制度を存続させたいなら、それぞれを期間延長すればいいだけなのに、わざわざ、つみたてNISAの土台に一般NISAを積み上げたような新NISAを創設することに、どんな意味があるのでしょう。低リスクな投資で客を呼び、ある程度安心させてから、高リスクな投資へといざないたい金融機関の思惑を反映したものではないのか、一般庶民の損得など何も考えていないのかと疑ってしまいます。

 

政府は何が何でも「貯蓄から投資へ」推し進めたいようですが、皆さんはわからないものにお金をつぎ込んではいけません。投資は、自分で理解し自己責任が鉄則です。新NISAは今後、国会で審議されます。行方に注目しましょう。

 

「女性自身」2020年1月21日号 掲載

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