画像を見る

いま全国の消費生活センターには、新型コロナウイルスに関する詐欺事件や消費トラブルの相談が相次いでいるという。その数はすでに1万2,000件を超えた。全国の被害実態を取りまとめている国民生活センターの担当者はこう語る。

 

「昨年は改元に便乗して、金融機関を装って暗証番号などを聞き出す詐欺事例が多くありました。今年は“改元”を“コロナ”に置き換えた、同様の手口が報告されています」

 

横行しているのは、既存の手口に“新型コロナ”というワードを付け加えた進化版。誰もが危機意識を持っているだけに“騙されやすくなる”という。

 

「テレビでは四六時中、新型コロナウイルス関連の報道がされており、国民の重大な関心事となっています。それだけに“新型コロナに感染しているんじゃないか”“マスクやアルコール消毒液が入手できなくて困っている”“給付金がもらえるだろうか”など、多くの人が抱える不安につけ込んだ詐欺が急増しているんです」

 

こう警鐘を鳴らすのは、防犯アドバイザーの京師美佳さんだ。漫才師のハイヒール・リンゴは「注文したマスクが届かない。騙されました」と、MCを務めるテレビ番組で告白。愛知県では300万円を騙し取られた例が……。

 

「国民1人当たり10万円の給付金が支給される見込みです。詐欺グループは今後、こうした給付金をエサにして、あなたの財産を狙ってくるでしょう」(京師さん)

 

詐欺師たちは巧みな言葉で、不安につけ込もうとしてくる。

 

「しかし、どんな詐欺の手口があるのか、対処法は何なのか、あらかじめ知っておけば、いざというときも、冷静に対処できます」

 

そこで実際にあった手口を例に、その対策を解説。

 

【ケース1】コロナで個人情報を……「アポ電強盗」

 

近年、ニュースなどでも話題となっているアポ電強盗。事前に身内や警察官を装った電話で個人情報を聞き出したうえで、強盗に入るという荒っぽい手口だ。

 

「家族のふりをして『コロナが流行しているけど大丈夫?』と連絡を入れます。たくみな会話をしていくうちに『外出自粛だから、お金を持っておいたほうがいい』『いくらある?』『どこにしまっている?』『出かける時間は?』などと、情報を聞き出すというもの。こうした犯罪予兆電話は多数あるので、今後、強盗に発展しないよう、一層の注意が必要です」(京師さん・以下同)

 

〈対策〉不審な電話は切り、家族に確認。お金の置き場所、金額、外出時間などは教えない。詐欺防止電話を利用する。

 

【ケース2】コロナ版オレオレ詐欺

 

子どもや孫を装い《マスクやアルコール消毒液があるから、送るよ。入手するのにお金がかかったから、2万円を振り込んで》と騙し取る手口が多いという。さらに、コロナ不安で心細くなっている親の気持ちにつけ込む手口も……。

 

《マスクあるけどいる?》

 

3月23日、愛知県に住む90代男性にこんな電話がかかってきた。自分の体を気遣う言葉に、息子だと信じた男性は、《コロナ相場で、仮想通貨の取引で大成功した。脱税の処理でお金が必要》という言葉をうのみにする。

 

「その後、自宅に来た“弁護士”を名乗る人物に“処理費用”として300万円を渡してしまった被害がありました」

 

〈対策〉電話では、家族間で取り決めた合言葉を使う。お金にまつわる連絡は、必ず電話を切った直後に確認電話をする。詐欺防止電話を利用する。

 

【ケース3】ウイルス除去を名目に高額商品売り付け

 

《市役所職員に成りすまして「コロナウイルスを除去する機械を取り付ける水道工事をする」などと言い、高額な工事代金を請求する不審な電話》が、埼玉県警察に報告されている。

 

「詐欺でありがちなのは、名乗る際に『水道局の“ほう”から来ました』など、『〜のほうから』と、あいまいな表現です」

 

また、以前から『無料点検』を入口に、ホームセンターで2万円ほどで入手できる浄水器を、30万円で買わせる詐欺もあった。

 

「今後“コロナの消毒”を理由に、不当な高額商品を売りつけてくる手口には要注意です」

 

《上水道や下水道がウイルスに汚染されているので消毒が必要》という電話や訪問販売は間違いなく詐欺なので、警察に通報しよう。

 

〈対策〉「〜のほうから来ました」と、はっきりと職場を語らない人物には対応しない・詐欺を疑う。どんなセールスでも、即決せず、必ず保留して家族や知人に相談。

 

詐欺被害にあうのは高齢者ばかりではない。“自分は詐欺になんて、ひっかからない”と過信する人ほど危ないという。

 

「過信が油断につながり“まさか私が……”という結果になりやすいのです。“詐欺かもしれない”“自分も騙されるかもしれない”と疑いの目を持ち、決定する際は、必ず誰かに相談すべきです」

 

少しでも不安を感じたら、必ず家族に相談したり、全国の消費生活センターや最寄りの警察署に連絡すること。「消費者ホットライン(市外局番なしの188)」に電話をすれば、身近な相談窓口を紹介してくれる。

 

在宅時間が長くなっている今、あなたや家族の財産が狙われていることを意識しよう。

 

「女性自身」2020年5月5日号 掲載

【関連画像】

関連カテゴリー: