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みずほ銀行が大手銀行では初めて、紙の通帳を有料化する。’21年1月18日以降に新規契約した70歳未満の人が対象で、口座開設や通帳を繰り越すときに、1,100円(税込み)かかる。ただし、すでに口座がある人や70歳以上の人は対象外で、今後も無料だ。

 

また、毎年1月末時点で1年以上記帳のない口座は、自動的に通帳のない口座に切り替えることも発表された。今持っている口座も対象で、1年以上記帳しないと、手元の通帳が使えなくなる。

 

とはいえ、通帳なし口座に変わった後でも、店頭で希望すれば、通帳は無料で再発行される。そんな通帳有料化について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■今後は他行も追随して、ネット通帳やネットバンキングへの移行が加速

 

そもそも紙の通帳には、年200円の印紙税がかかります。みずほ銀行の個人口座は約2,400万件ですから、毎年印紙税だけで48億円!

 

これほどのコスト負担は、どの銀行にとってもきびしい状況です。そのため、インターネットで入出金や残高などを確認する「インターネット通帳(以下、ネット通帳)」を勧める銀行が増えています。

 

たとえば三菱UFJ銀行は、ネット通帳に切り替えた先着20万人に、1,000円プレゼントするキャンペーンを行いました。総額2億円をかけてでも、紙の通帳を減らしたいのでしょう。ほかにも三井住友銀行や横浜銀行なども同様のキャンペーンを行っています。

 

みずほ銀行はこうしたプレゼント作戦ではなく、いわば実力行使で通帳有料化の先陣を切ったといえます。今後は他行も追随して、ネット通帳やネットバンキングへの移行が加速するでしょう。

 

そんな銀行の情勢を踏まえて、皆さんに2つの提案があります。

 

1つ目は、ネットバンキングの利用です。今ある口座をネットバンキングに連携させると、紙の通帳とネット通帳を併用できます。両方を比べながら、ネットバンキングに慣れていきましょう。将来、もし紙の通帳がすべて有料になっても、今から使っておけば安心。

 

また、振り込みなどの手数料もネットバンキングのほうが割安です。24時間どこからでも手続きできるので、使い慣れるととても楽ですよ。

 

2つ目は、紙の通帳の管理です。「1年以上みずほの通帳を放っておいたら、使えなくなった」という事態は、かなりショッキング。紙の通帳を持つなら定期的に記帳し、きちんと管理しましょう。

 

また、三菱UFJ銀行は一定期間、入出金など取引のない口座に年1,200円の「口座管理手数料」を導入しようと検討しています。あまり利用しない通帳は、これを機に解約しましょう。通帳は少ないほうが家計管理もカンタンです。

 

三井住友・三菱UFJ・みずほの大手3行は、’18年から合わせて3万人超の大リストラを敢行中です。三菱UFJ銀行は、’17年度末の約4割、200店舗を’23年度までに削減します。生き残りがかかった銀行は「小口客は店に来てもらいたくない」のが本音なのです。

 

いっぽう、私たちもムダな手数料を払う余裕はないでしょう。生活を守るため、ネットバンキングに慣れる覚悟を決めましょう。

 

「女性自身」2020年9月15日 掲載

経済ジャーナリスト

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