一見、収入は十分あるはずなのに貯金ができない……。そんなケースは夫婦が共働きの場合によく見られるという。気づけば陥ってしまっている支出の落とし穴とはーー。
「夫婦がそれぞれ仕事をしていて、世帯収入はけっこうあるはずなのに、共働きの方から『生活が苦しい』という相談を受ける機会が少なくないんです」
こう話すのは、財産コンサルタントとして活躍する“マネーのプロ”中島典子さん。’18年度の政府の家計調査では、共働き夫婦の平均年収は約770万円。働き手が夫一人の世帯より120万円ほど多くなっている。
「年収が770万円あれば、しっかり家計を管理することで年間200万円程度の貯蓄ができてもおかしくありません。それが夫婦で貯金ゼロというケースも少なくないのです。そういった家庭の支出にはいくつかの共通点が見えてきます」(中島さん・以下同)
中島さんが挙げるNG習慣は次の5つだ。
【1】夫婦の「財布」が別々
夫婦の双方が「相手が貯めている」と思って、ついつい自分の財布のひもが緩みがちに。
<改善策>
家族の生活支出を一本化した“第3の財布”(銀行口座)を作って、収入の大部分をそこで管理するように心がける。
【2】「交際費」がかさみすぎ
妻も夫同様に仕事上の付き合いで出費が増え、妻が専業主婦の家庭の倍かかる世帯も。
<改善策>
1年間の交際費を予算化し、1人月3万円を目標にサイズダウン。毎月の残額は手をつけずに繰り越して、臨時支出に充てる。
【3】「中食・外食」に依存しすぎ
仕事が忙しく、なかなか自宅で料理ができないためにテイクアウトや外食の支出が膨大に。
<改善策>
定期宅配の食料品サービスを活用して食費を削減、外食も毎月の上限回数を決めてメリハリを。1回の予算も設定する。
【4】「生命保険」の選び方がアンバランス
夫婦それぞれに必要以上に保険をかけすぎて、保険料が膨らんでしまう結果に。
<改善策>
公的な保障の活用も踏まえ、夫は所得補償の充実した死亡保障付き保険、妻は医療保険と介護保険を充実させるなど工夫を。
【5】家事負担が大きい妻の「ごほうび買い」
家事の負担からくるストレスから、必要以上に外食やストレス買いをして出費がかさむ。
<改善策>
大物家電は最新式の使いやすいものにし、負担と時間を削減。掃除などは家事代行サービスの活用が有効な場合も。
中島さんが相談を受けたAさん夫婦(ともに会社員)の場合は、冠婚葬祭を含む交際費が毎月2人で合計12万円とかさみ、家計を圧迫しているという。
「仕事の一環だからと、交際費はどうしても野放しになりがち。そこでお互いの1年間の交際費を予算化し、1人月3万円を目標にサイズダウンを提案しました」
次にBさん夫婦(夫・公務員、妻・保育士)のケース。
「夫婦とも多忙で、テイクアウトや外食で食費が肥大化。子ども2人の4人家族で月10万円を超えていました。宅配の食料品サービスなどを活用するなどして、中食・外食への出費を減らしたい」
また、十分に検討せずに夫婦対等で保障が手厚い高額な保険に入り、保険料の支払いがかさんでいることがある。
「共働きでも、必要な保障は夫婦で違うもの。まず公的制度や勤務先からの保障を確認しましょう。たとえば、夫は所得保障と死亡保障を、妻は医療保険と介護保険を充実させ、じぶん年金作りに資金を活用させるなど、夫婦でバランスを取ると、充実した保障が得られ、保険料も抑えられます」
そして共働きはどうしても妻の家事負担が大きくなってしまうことから、こんな落とし穴もある。
「仕事に加え家事の負担がストレスとなり、“ごほうび”として外食や買い物をしがち。これも家計圧迫要素に。まずはその家事ストレスを取り除くことを考えてみましょう。家電を買い換える、家事代行サービスを活用するなどしてストレスを軽減すれば、結果的に安上がりになることも。検討してみることをお勧めします」
思い当たるNG習慣は、早めに改めるようにしよう!
「女性自身」2020年9月15日 掲載