社労士語る主婦の就活“スキルの棚卸し”できていない人も
画像を見る

「結婚退職をしてから、しばらく専業主婦をしていましたが、周りからは○○ちゃんのお母さん、○○さんの奥さんと呼ばれて、『私には顔がなくなったのか』と、いつもモヤモヤしていました」

 

そう振り返るのは、グロースサポート社労士事務所所長の田邊雅子さん。’11年に社会保険労務士の資格を取得し、翌年、事務所を開設した。

 

田邊さんは大阪で中学校の教諭として勤務した後、結婚・転居にともない退職。子育てに専念中もアクティブに働いた。子どもがまだ幼いころ、「主婦の就職」をテーマにした本を購入し、そこで指南されているとおりにトライ。自宅から自転車で通える距離にある図書館に、自己PRの手紙を書いて送ったという。

 

「『私は司書教諭の資格を持っております。近くに住んでいるので、お忙しいときには声を掛けてください』といったことを書きました。数カ月後、採用の返事が来て、3年間図書館の司書として働きました」(田邊さん・以下同)

 

次に大学の研究機関で教授の秘書を10年ほど続けたという田邊さん。仕事の内容は講義の準備、来客の対応、学会などイベントのアレンジ、留学生のお世話など多岐にわたった。そのなかで、仕事に必要なあらゆる資格を取得するようになる。

 

「仕事の質を高めたいと思って、秘書検定2級やファイナンシャル・プランナーの資格を取りました。その後、教授が退官して研究室が閉鎖になり、私も無職になってしまいましたが、そのとき私の年齢は50歳間近。あせってハローワークで求職活動しましたが、当時は年齢制限が厳しく、すべて不採用となってしまいました。幸い、市の広報誌で無料のキャリア相談があることを知り、相談したところ、『何が得意なの?』と、これまでやってきた仕事のことを聞かれました。『一貫しているのは、よく人から相談されて、人の支援をすることが好き』と、答えたらキャリアコンサルタントになることを勧められたのです」

 

キャリアコンサルタントとは、企業の人事・教育部門、ハローワーク、人材紹介・人材派遣会社など幅広い分野で必要とされている国家資格で難易度は高め。

 

「年齢で賞味期限が来ない自分を作ろう」と決意し、懸命に勉強して資格を取得した田邊さん。その後は「マザーズハローワーク」で女性たちに就職支援をすることになった。

 

そのとき、「自分は何ができるのかわからない」「どんな強みがあるのか自分にはわからない」といった主婦たちが多いのに気がついたという。

 

「ハローワークではスキルの“棚卸し”を一緒に見つけるお手伝いをしていました。人生は『二毛作』ですから、一毛作目のときの棚卸しをしっかりしたうえで、自分の強みを言語化してアピールする必要があります。さらに専門性を身につければ、フリーランスとして80歳になっても働くことができますから」

 

たとえば、結婚前にバスガイドをしていたというある主婦は、子どもがいるのでバスガイドの仕事には戻れないが、スキルを生かした仕事がしたいという希望を持っていた。

 

「パッと座席を見たときにどこにどんな人がいて、何に困っているのか一瞬でわかる“特技”が、クリニックへの就職につながりました。これはバスガイドで培った強みなのですが、待合室を見渡して困っている人、具合が悪い人を瞬時に見つけられる能力が評価されたのです。また、バスガイドとして身に付けた丁寧な応対も評価されたのではないかと思います」

 

過去に、勤め先や得意先などから褒められたことも強みになるので、そうした成功体験を言語化すれば、自己PRになるという。

 

「女性自身」2020年12月22日号 掲載

関連カテゴリー:
関連タグ: