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「今年の経済は、世界的に見れば多少持ち直すようですが、それは昨年、著しく悪化した反動です。一昨年の『コロナ禍前』と比較すれば、国内では軒並みマイナスになってしまうでしょう」

 

こう話すのは経済評論家である加谷珪一さんだ。

 

’20年は多くの業種で経済活動が制限され、国民1人10万円の特別定額給付金の支給をはじめ、国や行政の支援策も多く打ち出された。“家計”をベースに考えた場合、’20年にはどれだけ「収入・支出」があったのか、’21年はどんな見通しとなりそうなのか、年頭によく比較・検討しておくべきだろう。

 

まずは、’19年までを「例年並み」と捉え、多くの世帯で深刻な家計状況に陥った’20年が「実際にどんな経済状態だったのか」から加谷さんに検証してもらった。

 

「’19年に『年収500万円(月収約41.6万円)だった3人世帯で見てみましょう。コロナ禍が発生した’20年の年収は491万円(月収約40.9万円)に減ってしまったのですが、全国民に特別定額給付金の支給があったため、3人世帯ですと30万円が加算され、収入自体は『521万円』に増えたことになります。

 

ところが、将来への不安から支出が抑制され、収入に対する消費支出の割合は低下しているのだという。

 

「’19年の支出が年間300万円(月平均25万円)だったのに対して、’20年は271万円(月平均約22万6,000円)と、『年間29万円』抑えられたことになるんです」

 

しかし今年の夏までに、もしもコロナが一時的であれ収束し、7月には東京五輪が予定どおり開催という流れになった場合、私たちの出費は「気の緩み」も手伝って、増えてしまうのではないか?

 

「’20年は夏前に一度、コロナの感染拡大は落ち着きました。その後、第2波、第3波が到来して、飛躍的に新規陽性者が増えていってしまいましたが……。完全収束は難しいとしても、今年も夏にかけて、新規陽性者が減る可能性はあるのではないでしょうか」

 

政府のGo Toキャンペーンが6月まで延長され、その後、すぐに五輪開幕となればーー。

 

「やはり『消費せよ』という世の雰囲気に押され、コロナに対しても楽観的なムードが広がると、財布のひもも緩んでしまう傾向となるでしょう。その場合、『貯金が減って、支出が増える』という図式となり、’21年の支出は297万円(月平均24万7,500円)程度に増えると予測されます」

 

つまり、’19年の300万円より3万円くらい減るものの、昨年の271万円より26万円ほど年間支出が増えてしまうことになる。

 

前年比で年収が「26万円」下がるにもかかわらず、支出が「26万円」も増え、そのぶん貯金に充てるお金が減ってしまうことになるのだ。

 

「コロナで落ち込んだ雰囲気を、お金を使って盛り上げたい気持ちはあるでしょうが、ベースが上がりませんので、支出はほどほどに。住宅や車の買い替えなど大型支出は、よほどの必要性がある場合に、吟味してすべきでしょう。まずは、貯蓄にどれだけ回せるかを念頭に、支出の計算を立てるべきだと思います」

 

「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載

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