男性と比べて平均寿命が約6年も長い女性にとって、夫の死後の人生をどう生きていくのか、というのは避けては通れない問題です。いずれ来る「その時」を乗り越えるためにきっちり備えておきましょうーー。
■「年会費やサブスク料金」が夫の死後も引かれてる……
昨今、ネット上だけで入退会が完結するサービスが増えている。たとえばAmazonの有料会員サービス「Amazon Prime」や、「Netflix」をはじめとする動画配信サービスなどがその代表だが、退会の手続きをするためには基本的に本人がサイト上でログインし、手続きを行う必要がある。
夫が生前に自分の名義で契約していたこれらのサービスをそのままにしておくと、年会費や“サブスク料金”の請求が発生し続け、使ってもいないサービスの料金を支払い続けるなんてことにもなりかねない。税理士でファイナンシャル・プランナーの福田真弓さんはこう話す。
「そもそも、請求書などが郵送されないので、入会していることにすら家族が気づいていないケースがあります。支払い方法はクレジットカードであることが多いため、まずはカードの明細からサービスを洗い出し、1つずつ解約していきましょう」
会員IDやパスワードがわからない場合は、問合わせ先の電話番号を探し、連絡して事情を説明しよう。
「銀行口座やクレジットカードを解約してしまえば、引き落とせなくなるので問題ないと考える人がいますが、請求自体は発生し続けています。夫の死から1年後に退会の連絡をしたとすると、1年分の料金の支払いを求められるということもあり得ます」(福田さん・以下同)
なお、最近はネットに写真やドキュメントなどのデータを保管するクラウドサービスを利用する人も増えている。ネットに個人情報を残さないという意味でも、退会手続きは行っておきたい。
「ID、パスワードは何らかの形で共有しておくこと。同時に、早めの“断捨離”を進めておいてもらうことも大切です。個人情報が残っている古いPCやスマホなども、データを消去して処分しておきましょう」
■夫名義の「車やカード」は使い続けられるの?
とりわけ地方暮らしの人にとっては生活必需品ともいえる車。夫名義の車を夫の死後にも乗り続けるには、当然のことながら名義変更が必要になる。
「ただし、夫名義の車はあくまで夫の財産。したがって、遺産分割の対象となりますから、妻が相続することが決まってからでないと、名義の変更はできません。また、売却、もしくは廃車処分をする場合でも、故人名義のままでは手続きができないので、いったん誰かが相続して、名義を相続人に変更する必要があります」
相続人へ名義変更するには、管轄の陸運局で移転登録申請書を提出する。その際、夫の死亡の事実と相続人が確認できる戸籍謄本、遺産分割協議書などが必要だ。
生活必需品といえば、今のご時世、クレジットカードもなくてはならないアイテム。ところが、本会員である夫の「家族カード」を使っていて、自分自身はクレジットカードを持っていないという人も少なくないのでは。
「夫の死亡にともない夫名義のメインカードを解約すれば、同時に家族カードも使えなくなります。夫の死後もクレジットカードを持ちたい場合は、夫が健在のうちに自分自身の名義のカードを作っておきましょう」
なお、一般的には年を重ねるほどクレジットカードの審査には通過しにくくなるといわれている。高齢で無職の場合は、まとまった年金収入がある場合でも、必ずしも審査に通る保証はないので、新規でクレジットカードを作るなら、早いほうがいい。
「子どもがいれば、子どもが持っているクレジットカードの家族カードを発行するという選択肢もあります。ただし、生計を一にしていないと家族カード会員として認められないことが多いので、覚えておきましょう」
「女性自身」2021年3月2日号 掲載