「多額の負債を抱えて『夫には言えない』、と悩む人は少なくありません。出費を言いだせず夫婦の不和を呼び、さらにストレスがたまる、というケースもあります」
そう話すのは離婚経験を生かし、カウンセリング的手法で夫婦問題に向き合う弁護士・原口未緒先生。
「コロナ禍で収入が激減し、やむなく借金をしてしまった人も多いです。借入金が膨らみ、完済のめどが立たない場合、基本的な選択肢は以下のようになります。高い金利を再計算し返済計画を立てる『任意整理』。借金の元金も減らせる『個人再生』。全ての返済義務が免責となる『自己破産』です」
これらの手続きを踏み、免責を受けると一定期間、借金ができないなどの制約もある。
「救済のための法律ですから、悲観しないで。ただ、一時的に借金を清算しても、根本原因は解決しないといけません。第三者に相談すれば道は開けます。一人で抱え込まないでくださいね」
そんな「コロナ禍借金」について、原口先生が実例をもとにアドバイスをしてくれた。
■娘の学費にフリーローンを借りてしまい、返済のめどが立たない
コロナでパートの給料が激減。先月の給料は住民税を引かれ、手元に残るお金はまったくなく……。大学3年生になる娘の来年度の学費をどうにも支払うことができず。窮余の策でフリーローンで借りてしまいました。娘もコロナでファミレスのバイトと家庭教師先がなくなりました。元夫からの養育費の支払いが途絶え、昨年の学費もフリーローンで借りていて200万円超に。このまま借金が雪だるま式に膨れ上がるのかと思うと、不安で。破綻はもう間近に迫っているよう。(40代・飲食店・シングルマザー)
【回答】「借り換えよう」
諦めないで、なんとかなります。突然世の中がコロナに翻弄され、よく調べずに慌てて高利で借りてしまうというケースもありますね。
どこから借りるのが負担が軽いか、今後は安易に手を出さず情報収集も大切ですよね。学費については、奨学金は検討しなかったのでしょうか?
自己破産や債務整理の道を選んでしまうと以降、一定の期間、(債務整理は7〜8年、自己破産だと決定が出てから10年)ローンが組めなくなるというペナルティはありますが法的に守られている手続きなので、追い詰められているならそれもありです。
一方、200万円程度であれば借り換えをしてコツコツ返済する道もあります。
まずシングルマザーであればコロナ禍なので「生活福祉資金貸付制度」の対象となる可能性が高いと思います。これは連帯保証人がいれば金利なしで融資を受けることができます。また、保証人を立てられなくともかなり低金利です。
お子さんもコロナ禍でアルバイトがなくなったのであれば、「休業支援金」制度も利用できそう。いずれもご自宅を管轄する役所の窓口で相談してみてください。(原口先生)
「女性自身」2021年4月6日号 掲載