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日本人の2人に1人がかかるとされるがんだが、最近は「早期発見で治る」病気になった。たとえば乳がんの5年生存率は92.3%(国立がん研究センター)。がんを経験後、日常生活に戻る人が増えている。

 

とはいえ、再発の不安は残るだろう。そうした人向けに、8月25日「乳がん・子宮頸がん・子宮体がん再発保障保険」が登場した。そんな、がん再発保障保険について経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■再発リスクと保険料を比較して検討を

 

「乳がん・子宮頸がん・子宮体がん再発保障保険」は、日本で初めて女性に特有のがんの再発を保障する保険です。

 

対象は20〜69歳までの女性で、乳がん・子宮頸がん・子宮体がんのどれかを経験し、現在はがんの所見がない方。がんの手術から6カ月たつと加入できます。

 

保障は2つです。1つ目はがん再発のときの「がん診断給付金」。80万円支給されます。2つ目は死亡または高度障害を負った際の保険金(以下、死亡保険金)。100万円、200万円、300万円から選べ、がん以外の理由でも支給されます。

 

さらに保険期間は1年で、保険料は年齢、経験したがんの種類やステージによって決まります。

 

たとえば子宮頸がん(ステージ1)を経験したAさん(40歳)が死亡保険金100万円タイプに加入した場合、1年目は月5,565円。翌年更新すると月6,420円に。保険料は44歳までは変わりませんが、45歳で年齢区分が上がり、月8,598円になります。

 

再発への不安が大きいため、加入できる保険を探していた方もいるでしょう。ですが、保険はあくまでも金銭的な助けです。精神的な不安とは切り離して、冷静に判断しましょう。

 

判断材料となるのは、80万円のがん診断給付金です。いますでに貯金を80万円以上持っている方は、この保険は必要ないでしょう。掛け捨ての保険料を払うより、貯金すればいいと思います。

 

また、「いま貯金がない」方は、がんの再発リスクと保険料を見比べて考えましょう。乳がんの場合ですが、手術後5年以内の再発率はステージ1で10%程度、ステージ2では15%、ステージ3では30〜50%といわれます。そもそもこの保険は、どのがんもステージ2までしか加入できず、再発リスクの低い方が対象です。

 

そのうえ、先のAさんが子宮頸がんのステージ2だったら2年目以降の保険料は月2万6,434円です。年間の保険料が30万円を上回り、3年たつとがん診断給付金の80万円を超えてしまいます。

 

ほかにも、がん診断給付金は契約から91日以降の再発でないと支給されません。そのため1年目の保険料は2年目より安いのですが、いますぐの備えにはならないでしょう。最初のがんと近い場所で再発する「局所再発」も対象外です。給付金が支給されないケースを納得して加入してください。

 

保険は病気を防ぐ“お守り”にはなりません。明るい未来のために、お金のため方、使い方を考えてみてください。

経済ジャーナリスト

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