みずほ・三井住友・三菱UFJの大手銀行は、今秋から他行あての振込手数料を引き下げる。ATM利用手数料の引き上げ、通帳発行手数料の創設など“改悪”が続いているので、久々の朗報! でも、本当にお得なのだろうか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■どの大手銀行も値下げ幅や新料金は似たり寄ったり
今回の改定は、銀行間でお金を移動する際に利用する「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の手数料引き下げによるものです。全銀システムの手数料はこれまで、3万円未満の振り込みで117円、3万円以上で162円。これが40年以上変わらず続いていましたが、10月からは振込額に関係なく62円になります。引下げ幅は、3万円未満の振り込みで55円、3万円以上で100円です。
この全銀システムの手数料は、私たちが払う他行あて振込手数料のいわば“原価”。各銀行は自行の利益を含む手数料をのせて、振込手数料を設定しています。
たとえば三菱UFJ銀行の場合、10月から3万円未満の振り込みで66円、3万円以上で110円引き下げます。振込手数料は、手続きを行う方法(銀行窓口や銀行ATM、ネットバンキングなど)によって異なりますので、新料金は次で確認してください。
【大手銀行の他行あて振込手数料】( )内は、現状との差額
〈三菱UFJ〉10月1日〜
ネットバンキング:3万円未満・154円(−66円)/3万円以上・220円(−110円)
ATM(キャッシュカード利用):3万円未満・209円(−66円)/3万円以上・330円(−110円)
窓口:3万円未満・594円(−66円)/3万円以上・770円(−110円)
〈みずほ〉10月1日〜
ネットバンキング:3万円未満・150円(−70円)/3万円以上・320円(−120円)
ATM(キャッシュカード利用):3万円未満・270円(−60円)/3万円以上・330円(−110円)
窓口:3万円未満・710円(−60円)/3万円以上・880円(−110円)
〈三井住友〉11月1日〜
ネットバンキング:3万円未満・165円(−55円)/3万円以上・330円(−110円)
ATM(キャッシュカード利用):3万円未満・165円(−55円)/3万円以上・330円(−110円)
窓口:3万円未満・605円(−55円)/3万円以上・770円(−110円)
※三井住友銀行は、’21年11月1日〜’22年1月16日のネットバンキングでの振り込みについて、値下げ分を口座に返金。
大手銀行全体を見ると、どの銀行も値下げ幅や新料金は似たり寄ったり。今後も、横並びの料金体制が続きそうです。
加えて、全銀システムで撤廃された振込額“3万円の壁”が依然として残っていますし、特に窓口での手数料は高いまま。「超低金利なのに、手数料が高すぎる」状況は大きく変わらないでしょう。