老後の家計を襲う“年金受給額の目減り”がコロナ禍で加速する
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■年金から天引きされる介護保険料の値上げも

 

そして企業の業績が下がれば、給与も下がり、納められる年金保険料も減少する。

 

「財政検証はコロナ以前に作られた試算。コロナのような感染症災害、台風や大雨などの自然災害などが想定されていません。本来ならもっと最悪のシナリオ7、シナリオ8まで想定すべきでしょう。財政検証の予想よりも早く、国民年金の財源が枯渇する可能性は否定できない。現在40代、50代の人も無関係ではありません」

 

さらに、65歳以上の多くの人が年金から天引きされる「介護保険料」に注目するのは、前出の拝野さんだ。

 

「年収や住んでいる自治体によって異なりますが、介護保険料は平均すると月6,000~7,000円ほどです」

 

団塊の世代が75歳以上を迎える「2025年問題」は、もう目前まで迫っている。

 

「すでに介護費の総額は10兆円を超える規模。介護保険制度が開始されて約20年で、保険料は倍増していることから、今後も介護保険料の値上げは避けられません」

 

これらの意見を総合すると、年金の手取り額は今より月額10万円下がってもけっしておかしくない。

 

1年間に換算すると、じつに120万円減。追い打ちをかけるように、年金受給開始年齢の引き上げも現実味を増している。

 

「諸外国では、受給開始年齢は67~69歳です。日本の企業も70歳まで雇用するよう努力義務を課していることから、受給開始年齢を現在の65歳から段階的に引き上げるでしょう」(平野さん)

 

受給額の減少、そして受給開始年齢の引き上げなどを前に、われわれの老後生活をどのように守っていくのか。新政権には、その具体策をぜひ提示してほしいものだーー。

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