■損して得取れ。よき行いは返ってくる
実は江原さんは数十年前から災害や貧困、病気などに苦しむ人たちへの支援を行っており、その寄付金は総額1億円を超える。
お金の話というと眉をひそめる人も多いが、スピリチュアリズムの考え方では、お金と向き合い、大切に扱うことこそ幸せに通じる近道だという。そこでコロナ禍で経済的に苦しむ人が多い今、江原さんに幸せになるための「生き金」を使う心得について聞いた。
【1】享受する幸運は「70%」にとどめよう
まず、寄付金や義援金を贈る行為は、きれいごとではなく「恩返しであり、自分のためでもある」と江原さんは言う。
「お金が舞い込んでも、なぜかすぐに通り過ぎていくという人がいます。それは幸運をひとりじめしようとするから。享受する幸運は70%にとどめておくべきという法則があります。自分の境遇が許すなら30%は困っている誰かのために使うことが理想。それが社会への恩返しになるのです」
この「幸せの前納金」を世の中に納めることを怠ってしまうと、お金は身につかないのだという。確かに30%を負担に感じる人も多いと思うが、「損して得取れ」という言葉のとおり。よき行いは必ず返ってくると江原さんは語る。
【2】寄付で大切なのは金額ではなく「痛み」
では、寄付金や義援金の適正金額はあるのか。
「重要なのは、金額の多寡ではありません。痛みを伴ってまでその行為ができるかどうかです。イエス・キリストが弟子に言った言葉に、『金持ちが天国に入るのはラクダが針の穴を通るより難しい』というものがあります。たくさんお金を稼いでいる豊かな人にとっての1万円には痛みは伴わず、そこに愛は宿りません。一方で、貧しい人が同額の献金をしたならば、それは善行です。マザー・テレサも『痛むほど人を愛しなさい』と教えてくださっているでしょう。問題は金額ではないのです」
【3】誰かを幸せにすることが「働きがい」になる
次に、働いて稼ぐお金にはどんな意味があるのか。コロナ禍ということもあり、「自分が食べるぶんだけ稼げたらそれで十分」という意見もあるが、こうしたスタンスには江原さんは首をかしげる。
「『自分のぶんだけ』というのは『自分さえよければいい』ということであり、それはあまりに利己的な考え方ではないでしょうか。元気で仕事があって働けるのであれば人の2倍も3倍も働いて、さまざまな事情から今は働けず、困っている人を助けてあげましょう。誰かを幸せにすることが働きがいにもなる。“人のため”が自分の幸福につながるのです」
【4】「失う」ことで得られるものもある
最後に教えてくれたのは「因果律の法則」からくる心得だ。この世にはパワーバランスがあり、「失う者は何かを得られる」「与える者はさらに与えられる」といい、江原さんもこの法則に従って生きてきた。実際、人に裏切られ、多くを失ったこともあったが、「失うことは怖いことではなかった」と受け止めているという。
「私はお金にも仕事にも執着はなく、失ったことを悔やんだり嘆いたりはしません。なぜなら大きな代償を払ったら、次に必ず新たな何かがやってきます。そしてつらく苦しい経験によって必ずたましいは磨かれ、人間的にも成長しているものです」
逆に、失ったことで誰かを恨んだり怒ったりする行為は「悪しきカルマ」を生み、やがて自分に返ってきてしまうので厳禁だ。
「許して前に進むことが大事です。恨んでいる時間は無駄でしかありません」