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「お葬式は、金銭的に余裕のある方は、あまり揉めることがありません。しかし、きょうだい・親族間で立場の違いから、思わぬ言い争いになってしまう場合は、見受けられます」

 

こう話すのは、『日本一笑顔になれるお葬式 ~大切な人が亡くなる前に知っておきたい葬儀の本当のハナシ~』(扶桑社)の著者で、葬儀社「小金井祭典」社長の是枝嗣人さん。

 

是枝さんは3千件以上のお葬式に立ち会ってきた経験から、「想いの伝わるお葬式」を信じて経営してきたという。しかし、なかには次のような“トラブル”に遭遇することもあったという。

 

「この不況下でなんとか家計をやりくりしてきた長男ご夫婦が、お父さんを看取ることになり、お葬式の相談をお受けしました。長男の奥さんは、義理の父に対して寝ずの介護をしてこられたんですが、長男のきょうだい、つまり故人の長女や次女たちから、言いたい放題言われてしまったんです」

 

そのきょうだいの場合、長女と次女がマンションなどの不動産を相続し、長男は自宅とお金を相続することとなっていたそうだ。

 

「それは莫大な金額の相続というわけではありませんでしたが、長女さんと次女さんは、自分たちにお金のことは関係ないとばかりに、『葬式は派手にやればいいのよ』と、費用のことは他人事で、言いたい放題。ご長男は性格なのか、とても大人しく、小さくなっていました。介護に献身してきた奥さんとともに、ちょっと不憫だったのを覚えています」

 

そして声の大きい長女、次女の言いなりとなり、お葬式は彼女たちの趣味の世界に。祭壇にはたくさんのヒマワリが飾られ、派手なイメージとなったそうだ。ところが、事前打ち合わせの際、ずっと介護していた義理の娘さんから是枝さんは聞いていた。

 

「お義父さんは、百合の花が好きだったのよね……」

 

小さな声でポツリと言っていたのが忘れられず、是枝さんは長男に申し出たという。

 

「お嫁さんがそうおっしゃっていますが、どうなさいますか?」

 

そして葬儀当日、祭壇は一面のひまわりが、お焼香台にはひっそりと百合の花束が手向けられたという。

 

「私たち葬儀社は、亡くなった方の保全・管理が優先業務ですが、ご家族が仲よく供養できる環境を整えることも大切にしております。みなさんでご供養してほしいのです」

 

葬儀を営むにあたって、不必要にかける費用は見直し、気持ちを“かけるべきところ”に適正にかけたいもの。とはいえ、故人を亡くした遺族は、葬儀のことを考えるときには判断力がどうしても鈍りがち。いまのうちから備えておくことはできるのだろうか。

 

「日ごろから、近隣の葬儀社を知っておきましょう。事前見学は大切ですし、見学すれば見積もりへの意識も高まります。資料を請求して、見学を申し出たときにその業者さんが嫌がるのかどうかも判断材料になります。お客様も、初めて話す葬儀社は緊張されるかもしれませんが、逆も同じで、葬儀社も事前にお話ししたことがあるお客様ですと、いざお身内が亡くなったときも『そうでしたか、それは大変でしたね……』と、交わす会話もストレスも変わってくるはずです」

出典元:

WEB女性自身

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